映画『X-MEN: ダーク・フェニックス』ジーンにもみんなにも、できることならもう一度蘇ってほしい作品
上映時間 | 114分 |
製作国 | アメリカ合衆国 |
監督 | サイモン・キンバーグ |
音楽 | ハンス・ジマー |
配給 | ウォルト・ディズニー・スタジオ・モーション・ピクチャーズ(アメリカ合衆国) 20世紀フォックス(日本) |
公開日 | 2019年 |
主な出演者 | ジェームズ・マカヴォイ(チャールズ・エグゼビア / プロフェッサーX) マイケル・ファスベンダー(エリック・レーンシャー / マグニートー) ジェニファー・ローレンス(レイヴン・ダークホルム / ミスティーク ) ニコラス・ホルト(ハンク・マッコイ / ビースト) ソフィー・ターナー(ジーン・グレイ / ダーク・フェニックス) タイ・シェリダン(スコット・サマーズ / サイクロップス) アレクサンドラ・シップ(オロロ・マンロー / ストーム) コディ・スミット=マクフィー(カート・ワグナー / ナイトクローラー ) エヴァン・ピーターズ(ピーター・マキシモフ / クイックシルバー) ジェシカ・チャステイン(ヴーク) |
えっ、これが最後のX-MEN。
不死鳥の異名をもつジーンに焦点を当てた内容はいいとは思うものの、納得いかないなんとも言えない感じではありました。しかもシリーズ最後の作品というから、なおさらそう思うわけで。
できれば内なる敵ではなく地球外生命体とか。中途半端な世界観ではあったので、その辺は『アベンジャーズ』を見習ってほしかったです。このシリーズ地味に好きなんですが……。うーん、なんとも残念です。
あらすじ
X-MENは人類と共存し平和を守っていた。ある日、主要メンバーのジーン・グレイが、宇宙でのミッション中の事故によって謎の熱放射を浴びてしまう。そして、心の闇に潜んでいた彼女のもう一つの人格“ダーク・フェニックス”が覚醒。仲間たちは彼女を救おうと手を差し伸べるが、彼女の解き放った力が予期せぬ悲劇を引き起こしてしまうのだった。そんな中、謎の女がジーンに近づき彼女の力を利用しようとしていた…。暴走するジーンの強大な力により絶体絶命の危機が迫る中、彼女を殺すべきか否かで意見を対立させるミュータントたち。果たして、最強の敵“ダーク・フェニックス”に立ち向かう術はあるのか——。
感想
人間の繊細な一面を描いた、のだけれども
あと一歩、あともう一歩、押しが足りないような気がしました。
というのも、劇中で描かれるジーンの怒りの動機が、どう考えてもチャールズは悪くはないよなー、と思いながらも……。いや、わかりますよ。人間はほんの些細なことがきっかけで感情が揺れ動く生き物だってことは。
その辺を描きたかったというのは汲み取れましたし、弱くもあって強くもある、それが人間だってことも重々理解していました。ヴークの口車によってジーンがダークサイドに陥り、チャールズの必死の説得によって心を取り戻したシーンも、きっとそのことを伝えたかったのだろうなと思いました。
非を認めなかったチャールズの性格も十分問題ではありましたが。その辺の未熟さがあるからこそ、人は人を求め助け合い成長できるのだと思います。言いたいことは伝わってきましたが、もう少しインパクトのある動機を準備してもらえたら楽しめたのかなと思います。
確かにジーンは強い、のだけれども
X-MEN史上、最恐にして最強クラスの能力だってことはわかるのですが、強さの表現力が凝り固まったもので物足りなさを感じました。言うならば、これってアベンジャーズでいうところのスカーレット・ウィッチですよね。
さらに細かいことを言うと、能力発動中の手の動き(演技)に関してもスカーレット・ウィッチのほうが一枚上手のような気がしました。舞台が同じ地球であってもエンドゲームのような大胆さはなく、正直なところドラゴンボールを見習って破壊するぐらいの勢いでバトルシーンを展開してほしかったです。
この手の作品には、やっぱりサノス級のヴィランって必要なんでしょうね。あまりにも代償が少ないと感じました。
最後のシリーズ、だけれども
やっぱりこれで終わりにしてほしくない、というのが正直な気持ちで。アベンジャーズにしてもX-MENにしても、この先もずっとずっと描き続けてほしい、ある種祈りに近いものがありました。
まぁそうは言っても、興行収入の不振の原因も打ち切りになった理由のひとつと思いますし。本作に限っては、シリーズ最低のオープニング全米興行成績で幕を閉じることになりつくづく残念だなと思いました。
デッドプール単体に対して大勢のスーパーヒーローたちが登場する作品が無残な形で数字で負けているわけですから、都合のいい言い訳も見つかるはずもありません。宣伝の仕方が悪かったのか、はたまた中身が悪かったのか原因はわかりませんが、ジーンの強さが最強であろうが作品自体に面白味がなければなんの意味もありません。
一層のことジーンをダークサイドのまま陥らせて、今だから言えることですがスーパーヒーロー全滅ってオチも別によかったのではと思いました。だって、そっちのほうがきれいさっぱりじゃないですか。
最も○ ○で賞
出演者のなかから、個人的に目に留まった人物を勝手にピックアップしてかっこいいで賞&美しいで賞という名目で表彰しています。表彰の基準は様々で、見た目だけでなく役柄も重要視した上での判断となります。
最もかっこいいで賞
レイブンのことを思い、男泣きした名シーンをぼくは一生忘れることはありません。
ジェームズ・マカヴォイ演じるチャールズ、またの名をプロフェッサーXも役柄としてはかっこいいのですが、今までのこともあって残忍だったエリック、またの名をマグニートーがひと粒の涙を流すシーンはかなり印象的でした。演じたのはダンディで渋い俳優さん、マイケル・ファスベンダーです。個人的にはこのときのエリックが役柄としては一番好きかな、と。
壮絶な人生を歩んできたからこそ、セリフとして放たれるひとつひとつの言葉に重みがあり心にぐっと響くものがありました。ジーンの問いに対する答えには考えさせられましたし。過去残忍ではありましたが、改心して仲間や友人思いだったところも人らしさが感じられて何気によかったです。
師匠ぜひお供させてくださいと言いたくなる、そんな人柄の良さが選ばれた理由になるのかなと思います。
最も美しいで賞
美しさでいえば、レイヴンを演じたジェニファー・ローレンスも非常に捨てがたい美貌の持ち主ではありましたが、ここは本作のメインを張っていたジーンことソフィー・ターナーを選びました。
美しさだけでなく性格の強さも加味するのであれば、劇中でいつも救っているのは男ではなく女なんだから、チーム名もX-WOWMANに改名したらという強烈なセリフを吐いたレイヴンのような女性もいいとは思います。世の中にはきつめの性格が好きな男性もいることですし。
ただ個人的にはその手の女性になると苦手なもので、どちらかといえばジーンのようなシリアスな女性に目がいってしまいます。謎めいた女性ってそれだけで興味を惹くというか、そういう一面があると一気に引き込まれてしまいます。それでいてお美しい姿をしているわけですから文句一つありませんよね……むしろ見つかりません。
絶世の美女を目の前にすれば誰でも平伏してしまう、それが自然の摂理なのかなー、と。美貌も能力も反則的、ということで。
さいごに
なんとも煮えきれない気持ち全開ではありましたが、現実を受け止めて次のステップに進むしか他に手立てはありません。
最終的にはジーンの有終の美で幕を閉じるような形となり、あれはあれでよかったのかなと思いますし。いわゆるハッピーエンドってやつですが。時間があればもう一度過去のX-MENシリーズを見直し、余韻に浸れたらと思います。