映画『クワイエット・プレイス 破られた沈黙』全体的に前作には劣る恐怖感が損なわれた作品
上映時間 | 97分 |
製作国 | アメリカ合衆国 |
監督 | ジョン・クラシンスキー |
音楽 | マルコ・ベルトラミ |
配給 | パラマウント・ピクチャーズ(アメリカ合衆国) 東和ピクチャーズ(日本) |
公開日 | 2021年 |
主な出演者 | エミリー・ブラント(イヴリン・アボット) ミリセント・シモンズ(リーガン・アボット) ノア・ジュープ(マーカス・アボット) キリアン・マーフィー(エメット) ジャイモン・フンスー(島の長) ジョン・クラシンスキー(リー・アボット) |
なーんだ、これもあれと同じか。前作の方が面白い説……残念ではありますが、ほぼ確定。大きく部類すると、以下の項目が決定打となった。
クリーチャーの恐怖→前作>今作
ハラハラ・ドキドキ感→前作>今作
家族のヒューマンドラマ→前作>今作
すでに見せられたものをどのようにして楽しませるか。スケールアップだけでは足りませぬ。
あらすじ
“音を立てたら、超即死”という極限の世界を生きるエヴリン一家。最愛の夫・リーと住む家をなくしたエヴリン(エミリー・ブラント)は、産まれたばかりの赤ん坊と2人の子供を連れ、新たな避難場所を求めてノイズと危険に溢れた外の世界へ旅立つが・・・。突然“何か”の襲撃に遭い、廃工場に逃げ込んだ一家は、謎の生存者エメット(キリアン・マーフィ)に遭遇する。彼との出会いを発端に、新たな謎と脅威が明らかとなり、一家の運命は激しく動き始めるのだった。
引用:Filmarks
感想
うーん。今作にいたってはクソ面白くないとまではいかないけど、前作を超えてはいなかった。見慣れたせいもあって、緊迫感の強さが違った。まったく違った。
「やばい、やばい、早く逃げて。ものすごい速さで迫って来るよ……」
この迫り来る感覚が、悲しいかな。今作ではさほど感じられなかった。もしかすると恐怖が麻痺っていたのかもしれませんが、それでも……ねぇー。てな感じで予想を上回るような恐怖には出会えなかった。ただそれだけの話です。
仮にもクリーチャーの見た目はまだしも、弱点が同じで誰でも先が読めてしまう展開は退屈なものだった。弱点を克服するなり、その辺の学主能力が高まっていればもっと面白いものになっていたと思う。クリーチャー同士で共食いからの進化も面白い発想だったかもしれない。どちらにしてもなにかしらの変化を欲していた。
じゃないと単なる家族のヒューマンドラマに、クリーチャという恐怖の存在を加えただけの抱き合わせB級作品に成り下がってしまう。それだとつまらないという言葉に集約されてしまうので、もうちょっと頑張ってほしかった。
ヒューマンドラマに関しても、いまいちグッドポイントがなく、不服を申し立てたくなる。リーガンとエメットの突き放してからの共闘場面は確かによかった。けど、悪く言ってしまうとありきたりな展開。
どうした、急に、仲良くしちゃって。わからない展開ではないものの、もうひと捻り必要じゃなかったですかね。
続いて意見として挙がるのは、赤ちゃんの存在。この存在には異議を唱えたい。まー、確かに、盛りがついて子作りに励むのはいいとして、赤ちゃんが音を出さないってのには無理があるような気がする。
言葉がしゃべれないから、泣くしわめくし、とにかく叫ぶ。それが赤ちゃんなりの感情表現ってやつで、作中のベイビーは不思議なくらいおとなしかった。どう考えても不自然すぎてありえない、ありえなさすぎる。
前作では場を盛り上げる存在だったかもしれませんが、今作ではその逆で場を凍りつかせる存在だった。そして、いろいろな意味を込めて、伏線の回収は失敗に終わったと断言をしたい。
最も○ ○で賞
出演者のなかから、個人的に目に留まった人物を勝手にピックアップしてかっこいいで賞&美しいで賞という名目で表彰しています。表彰の基準は様々で、見た目だけでなく役柄も重要視した上での判断となります。
最もかっこいいで賞
戦う母親(イヴリン)の姿はかっこいい、だけれどもエメット役のキリアン・マーフィーを選んだ。理由は、リーガンと共闘する場面で、よくぞいいタイミングで登場をしたと褒め称えてあげたい。ほんとナイス!な登場で。
自分本位の行動から、徐々にイヴリン家族のために気持ちが揺れ動きながらも、最終的にはいい奴だってことを証明した瞬間は最高によかった。クールガイもいいとこ。この男こそ、最高にかっこいい存在だった。
[box class=”glay_box”]名前: キリアン・マーフィー(Cillian Murphy)
生年月日:1976年5月25日(45歳)
出身地:アイルランド
身長:175 cm
[/box]おすすめ作品3選
[aside type=”boader”]感染症の怖さを映像化したゾンビ作品。ゾンビも怖いですが、極限の状況下で人間のドロドロした欲求はさらに怖いと感じる。走るゾンビ系の金字塔作品と巷では言われている。
『スクリーム 』で有名なウェス・クレイヴンが監督を務めた作品。無駄な演出がなく、ハラハラドキドキの連続で良質なサスペンス映画と言える。キリアン・マーフィーは、サイコ感たっぷりの悪役を演じている。
女装をしたキリアン・マーフィーが印象的な作品。トランスジェンダーの青年の生き様が描かれている。音楽やファッションも含め、世界観のすべてが美しさで溢れている隠れた名作。
[/aside]
最も美しいで賞
リーガン役のミリセント・シモンズを選んだ。理由は前作からの成長ぐあいにビビった。ちょっと前までは子どもの一面が多かったはずなのに、今作では一気に大人びたような雰囲気を醸し出していた。すんげぇーよ、ハリウッド。子どももここまで見違えるなんて、この業界いい意味でえげつない。
ちなみに、彼女は映画の役柄同様に聴覚障害を患っているよう。てっりき全部演技かと思ってましたけど、どうりで上手いはず。納得。
[box class=”glay_box”]名前:ミリセント・シモンズ(Millicent Simmonds)
生年月日:2003年3月6日(18歳)
出身地:アメリカ合衆国
[/box]おすすめ作品3選
[aside type=”boader”]原作は、ブライアン・セルズニックの同名小説。二つの時代を背景に、2人の子供が大事なものを取り戻す旅に出る様子を描く。ミリセント・シモンズは聴覚障害のある役柄を演じている。
迫り来る恐怖感が破られた沈黙とは全然違う。こっちのほうがクオリティは高い。子を産むシーンだとか、足に釘が刺さってしまうシーンだとか、空気感が伝わって終始ハラハラ・ドキドキしてしまう。
- アンディ・マック(2018〜2019)
思春期の女の子の心情を生き生きと描いたコメディ・ドラマ。ミリセント・シモンズはリビー役としてシーズン3に登場する。可愛らしい少年少女たちが家族、友達、恋愛をテーマに、ハラハラ・ドキドキの物語を繰り広げる。
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さいごに
物語の舞台的に少しはスケールアップをしたのかもしれませんが、これといって恐怖を感じるようなシーンは少なく、期待以下のクオリティだったのは残念ではあった。完全に面食らった感じで、観ても観なくてもよさげだと思ってしまった。それくらい普通の映画だった。次作はより緊張感の高い作品をつくってもらうことを期待したい。
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