映画『RUN/ラン』母親の歪んだ愛によって娘の人生が狂わせられたサイコスリラー作品
上映時間 | 90分 |
製作国 | アメリカ合衆国 |
監督 | アニーシュ・チャガンティ |
音楽 | トリン・バロウデイル |
配給 | Hulu(アメリカ合衆国) キノフィルムズ(日本) |
公開日 | 2021年 |
主な出演者 | サラ・ポールソン(ダイアン・シャーマン) キーラ・アレン(クロエ・シャーマン) パット・ヒーリー(トム) サラ・ソーン(キャシー・ベイツ) |
車椅子ならではの恐怖が凄すぎて、手汗はんぱねぇかったです。久々のスリラーヒット作品、ここに誕生。
病気のためと言いつつ、いつも飲まされている薬には実は秘密があって、検索不能、脱出困難という不自由な条件がいつになく恐怖感を煽る、異色のスリラーとなっている。
最後のオチとか、あれは完全に恨みの伝染だよね。これは観なきゃ損ですぞ。
あらすじ
郊外の一軒家に暮らすシングルマザーのダイアンと娘のクロエ。生まれつき体が弱く、車椅子生活を余儀なくされていたクロエをダイアンは溺愛し、献身的に世話してきた。一方、大学進学を望み、自立に向かおうとするクロエ。そんな中、健康管理に気をつかい将来の夢を応援してくれる母親にふと不信感を抱いたクロエは、ある恐ろしい事実に気づいてしまう。
感想
あの『search/サーチ』の監督(アニーシュ・チャガンティ)がつくった映画というから、これは間違いなくただごとではないと思っていましたが、これがどんぴしゃ。本作も異色のスリラーだった。
だってね、車椅子が主人公の物語でスリラーなんて、今まで観てことも聞いたこともなかったわけで。X-MENのプロフェッサーXは別だよ。彼は車椅子にのっているかもだけど、原因は銃弾による脊髄損傷ですからね。今回のとはひと味もふた味もわけが違う。
というのが、冒頭に説明したように、生まれつき慢性の病気を患っているクロエが母親から飲まされている薬には秘密があると言いましたが、これが実は人間が飲んではいけない薬でして……。もう、この時点で「はっ?なに言ってん?」と疑問符しか頭に浮かばないと思いますが。物語の構成が実に見事だった。
闘病生活を支える母親とその娘の姿が描かれているわけですが、実際の生活は絶対大変だと思うんですけど、母親が美味しそうな料理を作ったり、食事中に「腕の筋力を新記録が出た」とか言ってたわいもない会話を交わしたりして、この二人の姿からは幸せな家族という印象しか抱けない。
父親がいないのは気になりますが、その辺の描写は一切なく、とりあえずスルーでいいかなと。
物語が動き出すのはクロエが大学に進学したいと志願し、その結果を待つ状況になってから。合格通知が来ても娘には隠したままで、よっぽど分が悪いのか、しまいには母親がいつもの薬の会社が倒産をしたから別の薬に替えてあるという、いかにも担当医からの指示といったふうに言い聞かせる。
でも、実はこの時点ではクロエはその薬が自分のではないことは知ってて。じゃ、一体誰のだよって話ですが、薬のケースに母親の名前のラベルがしっかり貼られているというオチだった。シリアスな場面だったけど、ちょっと、吹いてしまった。
いやいやいや、お母さん、いくらなんでも娘さんは馬鹿じゃないんだから、せめてその辺は抜かりなくしっかりするべきだったよね。けど、ちょっとしたミスのお陰でクロエは違和感に気づけたといっても過言ではないのも確か。
それから、クロエは自分の薬じゃないことを母親にストレートに尋ね、その薬がなんなのかを夜な夜な自ら検索しようとこそこそ行動するも、その場に母親がしれっといたのには、もう、ヒヤヒヤだった。むしろ、不気味すぎて、あれは本当にあかん、心臓に悪い。
あんなに不気味なオーラが出せるダイアン・シャーマンはガチですごいし、恐怖でしかなかった。仮装すらしていない状態で、ガラスの仮面ぐらいは被っているかもだけど、そんじょそこいらのヴィラン以上の存在感はあった。もはや恐怖の塊。自宅からクロエが逃げ出す様子は、終始緊迫感の連続だった。
車椅子でだよ。自室の扉は棒で開かないように細工がされているのにどうやって逃げ出したのか、個人的にこのシーンは必見中の必見。
つか、そんな方法があるのかと、ある意味勉強になった。普通は考えついてもやらないとは思う。自宅脱出の最後の手段が、まさかのダイハードをやっていたので、勇気ある撤退はなかなかの見応えだった。
その後の展開に関しても自宅の外に出て逃げ出し、助けが来たと思いきや母親によるディフェンスにより脱出阻止を食らってしまって、事態は思わぬ方向へ進む。迫り来る恐怖の応酬で、片時も目が離せなかった。
車椅子での脱出は思った以上に時間と手間がかかるもので、そりゃそうだよなー、と思いながらも、ハラハラ・ドキドキ&もどかしさ全開の気分を味わえた。
そして、最後のどんでん返し。あれは人間の醜さが全面的にあらわれていた。いや、間違いない。恨みを買うと怖いってことを知らしめていたように、僕は解釈をした。
最も○ ○で賞
出演者のなかから、個人的に目に留まった人物を勝手にピックアップしてかっこいいで賞&美しいで賞という名目で表彰しています。表彰の基準は様々で、見た目だけでなく役柄も重要視した上での判断となります。
最もかっこいいで賞
トム役のパット・ヒーリーを選んだ。理由は、むしろ、本作には男性俳優の登場が極端に少ない。この方以外見たかなと思うくらい、女優ばかりが登場している。
それにトム役といっても出演シーンは短くて、さすがに通りすがりのエキストラを選ぶわけにはいなかないと思い、しくしく選んだといった感じになる。
選択肢が少ないのは本当に辛くて。かっこいいとかではありませんが、No.1の恐怖を与えた人物と言えば、サラ役のダイアン・シャーマン一択というのはすぐに出る。それくらいインパクトのあるものはなくて、今回のに限っては自信をもって選べていない。
[box class=”glay_box”]名前:パット・ヒーリー(Pat Healy)
生年月日:1971年9月14日(50歳)
出身地:アメリカ合衆国
[/box]おすすめ作品3選
[aside type=”boader”]パット・ヒーリーのデビュー作。ホーム・アローンといえば真っ先に思い浮かぶのが俳優のマコーレー・カルキンですが、3になってからは主人公がアレックス・D・リンツに変更されている。とは言っても、1や2に負けず劣らず面白い内容となっている。若かりし頃のスカーレット・ヨハンソンが出演しているのにも注目。
全米の若者の間でカリスマ的人気を誇るダニエル・クロウズの新感覚コミックを「アメリカン・ビューティー」のゾーラ・バーチ主演で映画化したおしゃれでキッチュでとびきり切ない青春物語を描いた作品。
2004年にアメリカのファストフード店で実際に起きた事件を基に、無実の罪を着せられた店員の衝撃の体験を描いた問題作。
[/aside]
最も美しいで賞
クロエ役のキエラ・アレンを選んだ。この方、調べてみてわかったことですが、作中のは演技とかではなく実生活で車椅子を使っている女優になる。
この事実を知って驚いた。だって、全部演技かと思ってこっちは観ていたので、普通にビビる案件でしょ、これ。通りでとか絶対ならない。
にしても、演技力も高かったでしたし、見た目のビジュアルも悪くなくて普通に美人。選んだ理由というのは、そんなとこになる。
[box class=”glay_box”]名前:キエラ・アレン(Kiera Allen)
生年月日:1997年12月29日 (年齢 24歳)
出身地:アメリカ合衆国
Instagram:@ kierajallen
[/box]おすすめ作品
[aside type=”boader”]- Ethan&Skye(2014年)
2014年に公開された短編映画に出演。本格的な女優デビューは、『RUN』になる。
[/aside]
さいごに
車椅子で逃げ回ることの恐怖はもちろんのこと、それ以外にも母親がどうしてそのような行動に至ってしまったのか、作中の所々にその描写があって非常に奥深い作品だった。
サイコパスといった言葉ではいい表せないほど、歪んだ愛の形をダイアン・シャーマンが怪演しているので、この手の作品に興味のあるかはぜひご鑑賞をおすすめする。
人間、道を踏み外してしまうとこうなるんだなてのがわかって、やっぱ怖いですわ、この作品。
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