『今、私たちの学校は…』目の前で次々と大切な人がゾンビ化してしまう心苦しさと切なさがエンドレスに交差する作品
ジャンル | サスペン ドラマ |
公開日 | 2022年 |
製作国 | 大韓民国 |
監督 | イ・ジュギュ キム・ナムス |
話数 | 全12話 |
配給 | Netflix |
主な出演者 | パク・ジフ(ナム・オンジョ) ユン・チャオン(イ・チョンサン) チョ・イヒョン(チェ・ナムラ ) パク・ソロモン(イ・スヒョク) ユ・インス(ユン・グィナム) イ・ユミ(イ・ナヨン) キム・ビョンチャル(イ・ビョンチャン) イ・キュヒョン(ソン・ジェイク) チョン・ベス(ナム・ソジュ) |
「目の前で大切な人たちが失われていく展開が、とにかく切ないんです!」
あかん、これ、涙もの。ちょっと前までは隣にいた生徒たちが、ちょっと前まではいがみ合っていた人が、ちょっと前までは親友だった人が、突然ゾンビに豹変して襲いかかってくる、あのなんとも言えない感覚。いろいろ切なすぎて泣けてくる。
特にお父さんお母さんがゾンビの姿になっているのを目の当たりにするというのは、普通に考えて絶望レベルだし、言葉にならない。
シャレになんねーですばい、このドラマ。
あらすじ
イ・ビョンチャンが科学教師を務める高校の科学室で、1人の生徒が指を噛まれる。その後、またたく間に感染が広がり、学校を血の海へと変えていく。
引用:Netflix
感想
いつの年にも必ずこの手のドラマは製作されていますが、大体のこと(物語の展開とか、結末とか……etc.)はわかったつもりでも、つい観てしまうのが世の常。今回のゾンビドラマも、めちゃくちゃ面白かった。なにが面白かったって、やっぱりそこは人間ドラマは外せない。
隣の知人が、嫌いな人が、親友がゾンビになってしまい悲しいのもあるけど、ゾンビになるきっかけを作ってしまったのも人間ですし、元をたどるとそうさせてしまったのも人間。物事を追求しても、たどり着くところは人間という回答しか出てきませんし、キリがない。けど、人間だからこそ許せないことはある。
実の息子が学校のいじめに遭って、自殺にまで追い込まれてしまって、変えようのない現実に打ちひしがれて。そんな父が出した答えは、根本的な生態系を変えるという答えにたどり着くわけですから、これが非常にタチが悪い。気持ちはわかる。同じような立場に立たされてしまったら、怒り狂ってしまうと思う。でも、さすがに、生態系を変えようとまでは思わないし、むしろ、そんなことはできねー。
そんな父も自身が招いた事態に対してさすがに迷いが生じることもあって、感情がことごとくかき乱されてしまう。なにが正しくて、なにが間違いなのか。鑑賞する側だからこそ冷静に考えて、冷静に判断ができてしまう。非常に印象深いシーンだった。
人間ドラマはこれだけに終わらず、むしろ序の口。感染源となった学校では、生徒同士の人間ドラマが繰り広げられる。
相手が憎いといった感情だけで犯行に及んでしまい、ゾンビになるきっかけをつくってしまうシーンは本気でやるせない。つか、許せない。「ひどい」といった言葉ではけして終わらせられないような、まぢでやべー問題に発展してしまう。人としてどうかと思いますけど、たとえ世界が終わってしまう直面に立たされてしまっても、やっちゃいけないことの判断はきちんと持つべき。やることなすことまぢでやべーですから。悲惨な出来事もいいとこ。
その一方で恋愛模様もしっかり描かれている。これがまた切なくて、実る恋があれば実らない恋もあって、人生が終わろうかとする世界でも青春ってやつが謳歌されていた。人間と一緒にはいられないハンビ代表のナムラと生粋の人間代表のスヒョクの関係は、つい見守りたくなるような展開だった。ナムラの葛藤がむちゃくちゃ切なすぎる。だぁーーーーーーー。
ただでさえ、1話進むたびに切ない物語が繰り広げられているのに、これ以上どうしろってんだい。基本大切な人がいとも簡単に亡くなってしまう展開ばかりなので、心が枯れ果ててしまうのも時間の問題。完膚なきまでに感情をぐるんぐるんとかき乱されてしまうので、これがまた厄介中の厄介。
平常心を保とうならば斜め45度から鋭い斬撃がきてしまうので、先の読めない展開は個人的には大歓迎だった。容赦なく重要人物を葬り去る展開は、ある種の潔さを感じる。普通に驚きますけどね。
ゾンビについては、基本怖いのは定番になっているので、あえて触れるまでもありませんが。あえて触れるのであれば、今回今までにない試みとしてハンビ(人格は人間のまま身体能力はゾンビの“半分ゾンビ”)というキャラクターが作り出されていたので、その辺は新鮮味があってよかった。
ハンビという新種キャラクターのなかでも強烈な印象を残していたのが、ユ・インスが演じたユン・グィナム。個人的にはミン・ウンジが演じたオ・ヘスというキャラクターもいい味を出していたので、推しではある。チョ・イヒョンの委員長・ナムラもそうだけど、見た目が可愛いってのが共通点としてあった。
けど、可愛いとか関係なくそれらを完全に上回っていたのが、グィナムのキャラクター性。こいつは、まぢでやばかった。クレイジー。不死身だし、しぶといし、なかなか死なないので、存在自体が恐怖でしかなかった。片目をやられて、なおかつことごとくけなされてしまうチョサンを目の敵にしている。こんな最強キャラを一体どうやってやつけるのか気になっていましたが、案外正統なシナリオだったので、まー、それしか方法はないよなー、と思うほかなかった。
グィナムが着るジャージの背中には、韓国語で「心を一つに」と書かれているところは、皮肉を込めた彼なりの人間に対する怒りのアピールというのは汲み取れた。ハンビになるまでは不良グループのパシリでもあったので、けなされる言葉にいちいち反応していたのがその証拠になる。このキャラクターも難しい役柄ではありましたが、複雑な心情を演技を通して表現していたのは見事だった。さすが監督が惚れ込んだ役者というだけはある。
ユ・インスは、本作に出演したのをきっかけに、4万人台だったSNSフォロワーが140万人まで爆増したみたいで、「最大の功労者」という言葉まで与えられている。それくらい観る者の記憶に残るキャラクターでしたし、物語には欠かせない絶対的な存在だった。
つか、それは全員に言えることかな。みんな、演技うますぎだろー。
最も○ ○で賞
出演者のなかから、個人的に目に留まった人物を勝手にピックアップしてかっこいいで賞&美しいで賞という名目で表彰しています。表彰の基準は様々で、見た目だけでなく役柄も重要視した上での判断となります。
最もかっこいいで賞
イ・スヒョク役のパク・ソロモンを選んだ。理由はどっからどう見てもイケメンだったから。どちらかといえば犬顔かな。そして、役柄の性格的にもベリーグッドだった点も選んだ理由になる。
やることなすこと、いちいちかっこよすぎて、逆にあらを見つけたくなった。でも、見つからないのが現実。そういう自分が一番ダサいことに気がついてしまった。やるせない。人の悪いところをあえて見つけようとする邪な気持ちを呪ってやりたい。それくらい完璧な男。
作中ではナムラに思いを寄せる。この2人は両思いなので、神の悪戯が邪魔をしてしまう展開だけがまぢで複雑だった。美男美女カップルに待ち受けるほど苦い運命にぜひ立ち会っていただきたい。
[box class=”glay_box”]名前:パク・ソロモン(박솔로몬)
生年月日:1999年11月11日 (年齢 22歳)
出身地:大韓民国
身長:183 cm
Instagram:@lomon991111
[/box]おすすめ作品3選
[aside type=”boader”]キム・レウォンとパク・シネが主演したピュアラブストーリー。医療系のドラマに抵抗がある方でも、楽しめる内容となっている。涙腺崩壊を助長する挿入曲にも注目。
凡な女子高生が学園一のイケメン&トップアイドルと三角関係になる、という夢のような展開が描かれた作品。乙女の妄想が詰まった胸キュンシーンが多く、熱狂的な視聴者が続出したほど。見始めたら止まらなくなる胸キュン必至の学園ラブコメディとなっている。
- 番人!〜もう一度、キミを守る〜(2017年)
娘を失った女性刑事と一見出世欲丸出しなダメ検事が、法に代わって悪を裁く“番人”たちの活躍を描いた痛快エンターテイメント作品。パク・ソロモンは高校に通う検事長の息子役を演じている。
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最も美しいで賞
チェ・ナムラ役のチョ・イヒョンを選んだ。正直、パク・ジフ(ナム・オンジョ)と迷った。どっちも美しい顔立ちをしていましたし、しいて言うなら可愛いかきれいな顔をしているかで判断するとなったときにチョ・イヒョンを選んだ。好みってのもありますが、圧倒的にきれいな顔をしていた。
作中では、ぶっきらぼうな役を演じていましたが、そこがまたよかった。締めるときは締める度胸があって、ズキュンと心に響くものがあった。どちらかと言えば無機質な人柄に見えてしまうようなキャラクターではありましたが、心は人一倍もがいているように見えた。
その表現が演技を通して伝わってきたので、女優としても素晴らしいものをもっている。『賢い医師生活』にも出演しているようなので、興味がそそられた。そちらも観てみたい。
[box class=”glay_box”]名前:チョ・イヒョン(한 소희)
生年月日:1999年12月8日 (年齢 22歳)
出身地:大韓民国
身長:160 cm
Instagram:@ yihyun1208
おすすめ作品3選
[aside type=”boader”]高麗末期から朝鮮建国の初期の時代を200億ウォンをも超える制作費をかけて描いた超大作。主人公フィの妹で病気がちな役柄を演じている。複雑な恋の展開や陰謀論がストーリーを盛り上げる。
ある事件をきっかけに、正反対の性格の高校生2人に奇妙な契約友情や恋が生まれる学園ラブサスペンス。謎のメッセージを残して亡くなったドニョクの恋人役を演じている。謎が謎を呼ぶ展開は一度見始めたらやめられない。
1999年に医大に入学した20年来の友人である医師5人の日常を描いた医療ドラマ。
病院内で起こる日常を、時にユーモラスに、時にシリアスに、時にドラマティックに描いている。韓国で爆発的な大ヒットを巻き起こしており、毎話ごとに「泣ける!」と話題になった。
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さいごに
作中いろいろとショッキングな出来事が横行していますが、どれもこれも全部受け止めて考えることで新しい気づきが得られる、大変素晴らしい内容となっている。役者たちの演技が本当に素晴らしい。これでもか、というくらい感情をかき乱されてしまうので、共感レベルもハンパない。
Netflixでは、配信後3日間で視聴1億2,479万時間を記録し、世界29か国で1位に輝いた作品でもある。『イカゲーム』に続く作品として注目されており、ゾンビドラマに興味のある方やまだ観ていないという方は、ぜひ鑑賞してほしい。