映画『護られなかった者たちへ』復讐を生むだけで、人のせいにしたってなにもはじまらないことを学べた作品
上映時間 | 134分 |
製作国 | 日本 |
監督 | 瀬々敬久(鈴木俊久) |
音楽 | 村松崇継 |
主題歌 | 桑田佳祐「月光の聖者達(ミスター・ムーンライト)」 |
配給 | 松竹 |
公開日 | 2022 |
主な出演者 | 佐藤健(利根泰久) 阿部寛(笘篠誠一郎) 清原果耶(円山幹子) 倍賞 美津子(遠島けい) 林遣都(蓮田智彦) 永山瑛太(三雲忠勝) 緒形直人(城之内猛) 吉岡秀隆(上崎岳大) |
最後、ぶわぁぁぁあってなった……。
もう一度言います。
最後、ぶわぁぁぁあってなった。
本作に抱いたもっとも重要な感情だったので2回言ってしまった。
これは驚愕……というよりも一人ひとりの心情を察するのに忙しすぎて、途中でやめた。悲しい感情を抱くというよりも、もはや驚きを通り越してどう言葉にしていいやらわからん。
事態は思った以上に深刻だった。
あらすじ
東日本大震災から9年後の仙台で、被害者が全身を縛られた状態で放置されて餓死するという連続殺人事件が起きる。捜査の中で、被害者が同じ福祉保険事務所に勤務していたことを突き止めた宮城県警の刑事・笘篠は、このことを手がかりに犯人を追い詰めていく。
引用元:Google
感想
佐藤健の名演技が光っているとのことで観てみた。確かに名演技だった。特に目、目ね。
あきらかにギラついてた。あれは過去になにかしでかした目、そんな気概すら感じた。物語はそんな佐藤健演じる利根泰久を中心に、様々なテーマを織り交ぜながらそれぞれ登場人物の身に起きる出来事を描いている。
東日本大震災で起きた人々の描写であったり、生活保護の不正受給の問題だったり、行政の隠蔽だったり。そして、本作最大のテーマでもある殺人事件が取り扱われている。
と、このように、まー、いろいろな角度から描いている。テーマが詰まりにつまっているものの、さほど混乱はしない。過去と現在の描写が交互に切り替わるのだけれども、ひと言でいうならうまい。丁寧に描いているぶん、物語にはちゃんとついていける。
ただ残念なことに、殺人事件の犯人をこの人と思わせといて実は違う人物だっていう手法には途中から気づいてしまった。だけど、どうしてだろう。そこまでそのことが重要じゃないと思ってしまうのは。
殺人事件の犯人が誰であろうと本作は単純に犯人探しを楽しむだけの作品ではなく、物語で描かれている様々な社会問題と向き合う登場人物の心情にこそ価値があると、なんとなくそっちのほうが大事だと思った。
そのなかでも利根泰久が刑事の笘篠誠一郎と最後に交わしたセリフ、あの真実を聞かされたときの心情といったら、それはもう頭も心も見事にぐっちゃぐっちゃ。なにもかも丸く収まりかけて気を抜いていたクライマックスシーンで、最後の最後でやらかしてくれるものだから、複雑な気持ちだけが取り残された。
神様、まぢであれはないでしょ。
今まで描かれていたシーンがちっぽけに思えてしまうほど、まぢで衝撃的だった。それはなぜかって……。笘篠誠一郎は震災によって妻と子どもを亡くし、息子だけは見つからずじまいでずっと探していた状況のなか。このとき利根泰久がもってた答えを聞かされたときの笘篠誠一郎の心情といったら、それはもうまったく想像がつかない。
「助けようとしてくれてありがとう、声に出してくれてありがとう」
笘篠誠一郎の立場を考えて自分だったらそんなことが言えるのか、ものすごく考えさせられた。少しの安堵と悲しみが入り混ざった表情からは、小さな希望が失われた瞬間であり、現実と向き合うことにもなった瞬間でもある。長年心にぽっかり空いた穴を利根泰久が埋めてくれたのは確かであるというのは事実。
東日本大震災によって生活は一変し、生活困窮者が増えてしまった影響で生活保護もろくに受けられないなかで不正受給者がいて、本来の機能を果たせていない行政の対応にも疑問符を突きつけられ、家族を失い、希望を失い、疲弊と重なり身も心もズタズタに蝕まれ、それでもムチ打って過酷な現実を受け入れて生きていかなければいけないということ。
これは表向きのテーマであってその裏に隠されているテーマは、どんな状況に立たされたとしても、しかもそれが命に関するものならなおさらしっかりと声をあげて主張する大切さを解いている。
「一生懸命ではだめ」と説く清原果耶演じる円山幹子のセリフもなんだか考えさせられましたし。深く、より深く、心に噛み締めるものがあった。
最も○ ○で賞
出演者のなかから、個人的に目に留まった人物を勝手にピックアップしてかっこいいで賞&美しいで賞という名目で表彰しています。表彰の基準は様々で、見た目だけでなく役柄も重要視した上での判断となります。
最もかっこいいで賞
利根泰久役の佐藤健を選んだ。まー、確かに阿部寛も雰囲気があってよかった。でもそれ以上に佐藤健はよかった。名演技が炸裂してた。
佐藤健はるろうに剣心辺りからまぢでやばい俳優と思い注目してましたけど、今回の役の入り方もまぢでやばかった。
表情で雰囲気つくれる俳優が、この日本で一体どれほどいるか。佐藤健は間違いなく、今後の日本映画業界を牽引する俳優のひとりになる。
[box class=”glay_box”]名前:佐藤健(さとう たける)
生年月日:1989年3月21日 (年齢 33歳)
出生地:日本
身長: 170cm
LINE:佐藤健 | LINE Official Account
SUGAR:佐藤健
YouTube:佐藤 健 / Satoh Takeru
[/box]おすすめ作品3選
[aside type=”boader”]和月伸宏の漫画『るろうに剣心』による実写映画。シリーズ5部作公開されている。緋村剣心演じる佐藤健の刀捌きと身のこなし方がとにかくやばい。
『デスノート』で有名な原作・大場つぐみ、作画・小畑健による『バクマン。』の実写映画。この作品でしか味わえない映像表現が秀逸で、楽しませてくれる。観終わった頃には素晴らしいと言っているはず。
一家に起きたとある事件を描いた作品。これを観ると、なにが正しいのかわからなくなってしまう。『護られなかった者たちへ』とは重苦しい作風が似ているので、好きな人にはおすすめ。
[/aside]最も美しいで賞
円山幹子役の清原果耶を選んだ。遠島けい役の倍賞美津子もよかった。ものすごくよかった。人の温かみが知れて、泣かされた。
そう考えると倍賞美津子なのかもしれないけど、清原果耶への共感はハンパねかった。まだ若いのに、震災によって身に起きた出来事が本当に辛くて苦しかった。それでも強く生きようとしているところが、これまたよかった。
20歳とは思えないオーラに脱帽。この子も天才やわー。
[box class=”glay_box”]名前:清原果耶(きよはら かや)
生年月日:2002年1月30日 (年齢 20歳)
出生地:日本
身長: 162cm
Twitter:@kayastaff
Instagram:@kaya0130official
WEBサイト:清原 果耶 | アミューズWEBサイト
公式ブログ:清原果耶 公式ブログ Powered by LINE
[/box]おすすめ作品3選
[aside type=”boader”]人気音楽グループGReeeeNの大ヒットソング「愛唄」のオリジナルストーリーを描いた作品。余命宣告をされた青年が織りなす感動の物語に、泣く。
家族4人。父親が一級建築士のご家庭で突如長男が失踪してしまい、殺人事件に関与していることを疑われ、家族間で徐々に歯車が崩れ落ちてしまう物語を描いた作品。まぢで切ないし、清原果耶の演技が秀逸でびびる。
平凡な男子学生が学年一の嫌われ者と呼ばれる孤独な女子学生に好意をもつようになったのをきっかけに、恐るべき危険を描いた作品。純粋なラブストーリーではないことだけは言っておく。キケン、観るな。
[/aside]さいごに
『護られなかった者たちへ』が高評価を得た理由がわかる一本だった。殺人事件の内容も餓死だったのも興味深いものがあった。後味はすっきりしませんが、考えさせられるといった点では素晴らしい。
もう一度観てきちんと理解を深めていきたい思った。つか、佐藤健が出演している作品はほとんどハズレがないような気がする。
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