市議会議員の登場
なぜ?どうして?
理事長を含めたった従業員15人程度のこんな小さな会社に、どうしていっぱしの市議会議員が出てくるのか。どう考えても意味不明でした。
そもそもその人とは、ずいぶん前に会社で行われた食事会で1度だけ面識がある程度で、そのときも今後営業をしていただける人といったふうに理事長から紹介を受けただけ。ただそれだけでした。
いわゆる、事業所を利用してくれそうな人を集めてくれる、そんな立ち位置の人材ということです。
それからというものの今まで会社に姿すら見たことがなく、その人からの紹介はゼロでした。
おいおい、一体どうなってんの。あのとき言われていたことは嘘だったのかよ。
利用価値があるだけの会社
しまいには市議会議員に立候補して、福祉事業所を打ち出していることを耳にしました。
いやいやいや、今までそんな関わりまったくありませんでしたから。
さすが議員さんはやり方が汚いなー、と。こんなんだから都合のいいように利用して、自ら市民によるバッシングを受けようとしているみたいなものですよね。
もしかして、ほとんどの議員さんはMなのかな。
経営難のための作戦会議
で、ここから話は急展開を迎え、ことの成り行きでその市議会議員とわたしを含めほかの何名かの従業員も呼ばれて、選挙事務所で話し合いを行うことになりました。
内容は「会社の現状についてと、これから」。
まずこの話し合いについて、場の手配をしてくれたのは事務員さんでした。
事務員さんとは、会社の現状であったり仕事のやり方であったり不満であったり、とにかく仕事のことは何でも話す関係でした。
事務員さんと市議会議員との関係は、それぞれ直接は聞いていませんが友好関係みたいのようです。よくわかりませんが。
とりあえず、よくわからないなかでの話し合いでもあったので、議員さんを信じていいのかさえもわからず。聞かれたことに答えていきました。
仕事の役割だとか営業に伴う関係機関のことだとか、全部ひっくるめて仕事のことについてですが。
もちろん、そのなかでも過去や現在のことで、上司から仕打ちを受けた愚痴みたいなことも正直に話しました。
事務員さんも立ち会っていましたし、正直に話してほしいとも言われたので。
それになにもわたしだけが話をしていたわけでなく、ほかの従業員も話をしていたので、ここぞとばかり心のうっぷんを吐き出しました。
わたし以上にY先輩はかなりうっぷんが溜まっているようでした。どの話も正直笑えない内容でしたけど。
ただそれだけだと、ただの愚痴の吐き出し大会で終わってしまうので、乱れかけた気持ちを一旦整理し、これからのことについて話し合いました。
営業をやるやる詐欺疑惑
利用者を獲得するとして、そもそもどこへ行けばお客さんはいるのか。
特別支援学校であったり、病院であったり、相談支援専門員からの紹介であったり、ハローワークからの紹介、行政からの紹介、障害福祉の関係機関など。まあ、考えるだけでざっとこれくらいかな、と。そのことを伝えました。
それからは営業方法やそれぞれ従業員の役割、そして営業成果について根掘り葉掘り伝えました。するとそのことを聞いた議員さんも開いた口が塞がらず、唖然としていまいた。
というのも、今回議員さんが突然会社に携わるようになったのもなにやら理事長直々にお願いをされたとのことでした。
利用者を獲得するためのお力添えをお願いすると。
なるほど、ついに理事長もことの重大さがわかってきたのか、渡し船をよこすような対策に出ました。
そりゃそうですよね。だって営業成果ゼロという数字ですから。
ただね、もっと酷いのが、むしろ営業をかけていないという状況にどれほどその問題と向き合えていないのか、責任の所存は完全に上司にありました。
だって営業リストまで作らせておいてそのあと放置プレイでしたから、こちらも動いていいのかさえも判断できず。
上司に営業について投げかけるも、うんともすんとも言わず。
あれ、無視、無視ですかと、声を大にして言いたいぐらいでした。
自分事に捉えているようには思えず、それどころか新サービスを立ち上げることに労力を使うという……。
従業員は満場一致で、ありえないのひと言。しかも事務員さんも議員さんも同意見で、なぜなのか、もう本人にしかわからない次元の問題でした。
山積みな問題
結局、あまりにも問題が複雑に絡まっていて、収集がつかない状態でした。
話すほうも聞くほうも段々疲れが出てきたので、一旦は話し合いを終えることにしました。
時計の針を見ると、20時を過ぎていました。
あれ、今日は居酒屋で食事会の予定じゃなかったですかね。
事務員さんへ尋ねると、19時半からの予約だったとひと言……。
行かないと言われていた議員さんも同席をして、食事をすることになりました。
どこぞの議員さんまで出てくるなんて、まったくもってドラマみたいな展開でもうまったく笑えない状態です。
おいおい、一体どうなっているんですか。この会社は。