いま観る理由『アイ・アム・レジェンド』
ゾンビ映画の企画記事「今観るならこれ!ゾンビ映画おすすめ10選」を書いたときに、無性に観たくなった作品があった。
『REC/レック』でもなく、『ワールド・ウォーZ』でもない。そう、『アイ・アム・レジェンド』になる。
僕にとっての昔のヒーローは、マーベルやX-MENの前はウィル・スミスだった。この男がスクリーンのなかで、変なテンションでどんちゃん騒ぎを起こす姿が好きだった。
『バッドボーイズ2バッド』で存在を知り、それから見事にハマった。この作品はシリーズになってて、ウィル・スミスの代表作でもある。
その作品で登場するマイクの人間性は、日本人にはないノリの良さと後腐れのない真っ直ぐな生き方に、当時16歳の僕はある種の憧れみたいなものを感じていた。もちろん、相棒のマーカスの存在があったってのもある。
こんな無謀で、度胸もあって、美女と付き合える、たっぷりと魅力の詰まった人間になりたいと本気で思ってた。完全に僕とは真逆の人間性だったので。それから興味をもつようになり、出演する作品を観るようになった。
『アイ・アム・レジェンド』で、忘れられないシーンがいくつかある。
恐怖といった点では、ダークシーカーの登場はやばかった。鹿の追跡中にビルのなかに入っていってしまったサム(愛犬)を連れ戻そうと、ネビル(主人公)がはじめはビルのなかに入るのを躊躇してて、なぜそうなったのか疑問だった。だけど、その後の展開をみてわかった。
ネビルは暗闇のなかライフル銃のライトを頼りに突き進む。このとき視野の狭さが恐怖を煽ってて、なにかがくること以外わからない恐怖に付き合わされる。張り詰めた空気がこちらまで届いてきて心臓もバクバク。
さらに洒落にならないほどの恐怖が襲ってきたのは、その後の映像。鹿を集団で捕食するダークシーカーがネビルの視界(映像)に映り込む。ゾクっとなった瞬間、これには思わずネビルも銃口と視線を逸らしてしまう。
恐怖に遭遇してしまったこのときの映像の怖さと言ったら、それはもう脳裏に焼き付いてしまって、一生取り除けない。怖すぎるのも大概にしろ。稀に見る、怒りの感情で恐怖を包み隠したくなるほどのものだった。
忘れられないシーンのもうひとつは、ダークシーカーには意思があったこと。当時観たときははっきりとわからなかったけど、違和感は感じていた。
それが今回観て、違和感が確信へと変わった。そのシーンというのが、ビルの恐怖体験後に起こった映像になる。
ネビルはダークシーカーに罠を仕掛ける。その理由は、ダークシーカーを生きたまま捕まえて治療薬をつくるため。その罠にひとりのダークシーカーが捕まってしまう。このとき太陽の光(紫外線)を浴びてしまうと死んでしまうのにも関わらず、その犠牲をいとわない1人のダークシーカーの行動が決定づけていた。
愛する人を奪われてしまった悲しみに映る瞳、いつか覚えていろよと怒り狂う雄叫びが物語っていた。
基本、ウイルスに感染してしまったら意思も消滅してしまう設定が多いなかで、ゾンビ系の作品としては珍しく印象的だった。
最後は真っ赤なランボルギーニでさっそうとニューヨークシティを走る映像になる。これが、むっちゃかっこいい。なんなの、あの映像のアングルも。見せ方、かなりいかしている。
人類が滅亡し無人の廃墟と化したニューヨークシティで、周りの車はひどく古びてしまっている状態なのに、ランボルギーニだけは「洗車でもしたんかい!」と思うほどピッカピカ。そんな異彩を放つランボルギーニで鹿を追うのにフルスロットで疾走するわけですが、車が傷ついてしまわないかとそっちのほうが心配だった。
こんな車、いつかは乗りたいと憧れた。が、しかし、現実は残酷なもので、今だにトヨタの普通車止まり。しかも2003年式という、ほぼ20年落ちにもなるような車。だけど故障という故障はほとんどなく、ある意味僕にとっては相棒であり、レジェンド的な存在だ。
そんなわけで、うまくまとまったのかどうなのかわかりませんが、2022年になって本作の続編が噂されるという嬉しいニュースが飛び込んできている。この機会に鑑賞してみてはいかがでしょうか。
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