映画『幸せのちから』9割辛くて1割ハッピーが感じられる作品
上映時間 | 117分 |
製作国 | アメリカ合衆国 |
監督 | ガブリエレ・ムッチーノ |
音楽 | アンドレア・グエラ |
配給 | コロンビア映画 |
公開日 | 2006年(アメリカ合衆国) 2007年(日本) |
主な出演者 | ウィル・スミス(クリス・ガードナー) ジェイデン・スミス(クリストファー) タンディ・ニュートン(リンダ) |
主人公ガードナーの立場や心の内に寄り添って観ると、辛すぎた。いや、ガードナーだけじゃなく、その子どものクリストファーや妻のリンダにも感情移入して、辛かった。
もちろん、最後には幸せにはなるんでしょうけど、それに至るまでが痛ましい気持ちで溢れた。人間ここまで不幸の連続に合ってしまうと、普通に心が病んでしまう。今の時代だったらなおさら。
でも、そんな困難も、窮地も、自分を信じて決断してやってきたからこそ勝ち取った瞬間は美しかった。
あっぱれですばい、これ。
あらすじ
1980年代、サンフランシスコに暮らす高級医療機器のセールスマンの男性。何より大切な5歳の息子のため懸命に働く彼だったが、折からの不況で仕事は思うようにいかず、家賃の支払いもままならなかった。やがて愛想を尽かした妻に去られ、家賃滞納で自宅からも立ち退きを命じられてしまう。彼は幼い息子と自身のために一念発起。証券会社に転職し、成功を掴むべく奮闘する。
引用元:Google
感想
あかん、これはあかん。ウィル・スミス演じるガードナーに感情移入してしまうと、本当に泣けてくる。
いや、辛いのはわかる。
必死になのもわかる。
切羽詰まっているのもわかる。
現状打破したいのもわかる。
家族に迷惑がかかって申し訳ない気持ちだってこともわかる。
妻には本当に申し訳ないのもわかる。
子どもには不自由をさせたくないのもわかる。
今を生きることに精一杯なのもわかる。
精神的にどうかなりそうなのもわかる。
タクシーの運賃を支払わずに乗り逃げするのもわかる。
このように、わかる、わかる、が連呼されてしまう。それくらい、ガードナーの気持ちに寄り添うと心を動かされるものがあった。
今の自分の状況と重なる部分もある。生活するためにはお金が必要なのは頭では理解できてても、それが容易にいかないときがある。ほかで働くという選択肢があってもよかったとは思う。
この時代どの程度就職が厳しいのかは知りませんが、過去の自分にけじめをつけたくて骨密度計測器を売り捌かないといけないと必死になるのも理解できる。
確かに、周りから見れば自業自得の人間に見えてしまう。全財産をはたいて骨密度計測器を購入し、売れると思って夢を見ていたけど実際はそう甘くなくて、売れない日々が続いてしまい生活が苦しくなっていくのは、あきらかにそう。自業自得でしかない。
だけど、こいうときって、ガードナーの立場からすれば周りがが見えなくなってしまうもので、一度自分が覚悟をもってはじめたことを最後まで投げ出したくない変なプライドが働いてしまう。そんなプライドのために家族が苦しい状況に立たされてしまうのは、はっきり言えば捨ててしまえばいいと思う。
そうは言っても、そんな簡単には捨てられないからこそ苦しくて、どうすることもできなくて、とにかく売り捌くことしか考えられなくなる。切羽詰まった人間って、そういうもんだと思う。
妻リンダの立場からすれば、ガードナーの数十倍はキツかったはず。それも深々と共感できる。毎日16時間働いているわけですから、一般的な労働時間の倍。つまり、1日で2日分働いているということになる。1人で2人分働いているといった考えもできるので、そらー、ガードナーに不満も鬱憤も爆発させたくもなる。
これ以上そんな人間の近くにいると自分がおかしくなりそうで、本当は子どもを置いて出て行きたくはなかったけど、心が疲弊して親権を争う気にもなれず家を出てしまう。そういった行動になってしまったのも、彼女自身が一番辛かったはず。
ガードナーを責めたところでなにも解決するわけでもなく、削られてしまうのは自身の心と体になるわけで。リンダが寝ている子どもに涙ながらお別れを告げる姿は、本当に辛いシーンでもあった。
つか、どんだけ出てくるんだよってぐらい辛いシーンがたくさんあった。むしろ、9割はそう。残り1割でハッピーエンドへともっていく。
クリストファーがガードナーに向かって、「お母さんがいなくなったのは自分のせいなの?」と尋ねるシーンとか、「そんなこと聞かんでおくれよ!」と、悲しすぎてしょうがなかった。
一番印象的だったのは、帰る家を無くしてしまったガードナーとクリストファーが駅のトイレで寝泊まりしてしまうシーン。これはさすがに、やばかった。
苦しすぎる、本当に苦しすぎて、どうか神様この二人に暖かい寝床とご飯を食べさせてあげてくださいと、観るほうも同情せずにはいられなかった。そして、こんなことがあっていいのかと、いたたまれない気持ちにもなった。このときガードナーがポロッと泣く瞬間に、彼の弱さをはじめて見たような気がした。
その悔しい思いをバネに証券会社の正規雇用を勝ち取る瞬間の喜びは最高の終わり方だった。最高のハッピーエンドじゃなかろうか。ありとあらゆる不幸を見せられた分、幸せへの反動も大きく、ほっと肩を撫で下ろせる展開で、これで気持ちよくぐっすり眠れそうだ。
最も○ ○で賞
出演者のなかから、個人的に目に留まった人物を勝手にピックアップしてかっこいいで賞&美しいで賞という名目で表彰しています。表彰の基準は様々で、見た目だけでなく役柄も重要視した上での判断となります。
最もかっこいいで賞
ここはウィル・スミスと言いたいところですが、彼を上回る演技を見せていたクリストファー役のジェイデン・スミスを選んだ。
確かにウィル・スミスは、本作でアカデミー賞で主演男優賞にノミネートされている。それくらい、ものすごく演技力がよかった。ノミネートされるのもわかる。
でも、なぜ、実の息子であるジェイデン・スミスがノミネートされなかったのか不思議なくらい、表情豊かな演技力は評価に値してた。だって当時8歳ですよ。親の力もあるかもしれですけど、8歳でスクリーンデビューを果たす時点ですごい。8歳と思って見られると彼のすごさがわかるはず。
[box class=”glay_box”]名前:ジェイデン・スミス(Jaden Smith)
生年月日:1998年7月8日 (年齢 23歳)
出身地:アメリカ合衆国
身長: 170cm
Twitter:@jaden
Instagram:@c.syresmith
YouTube:Jaden
[/box]おすすめ作品3選
[aside type=”boader”]ジャッキー・チェンと共演した作品。アメリカから北京に越してきた11歳の男の子が言葉や文化の違いが原因でいじめを受けて、カンフーを習うことで強くなっていく姿を描いている。
親子で共演した作品。人類が滅びてしまうほど恐ろしい生物が生息する地球に不時着した2人が、緊急発信機(ビーコン)を見つけ脱出するまでの姿を描いている。
余命1年の彼女に恋をした17歳の少年との感動のラブストーリー。カーラ・デルヴィーニュの可愛さと、ジェイデン・スミスの演技力に引き込まれてしまう作品。
[/aside]最も美しいで賞
リンダ役のタンディ・ニュートンを選んだ。選ぶもなにも、彼女しか女性という女性が出演していない。むしろ、選択肢はないに等しい。だからといって彼女がまったく美しくないというわけでもなくて、この役柄のせいなのか色気とかを感じなかった。
ほか女性といっても、エキストラのちょい役で見るくらいで誰かもわからなかった。現実問題無理だとは思うが、作中で最後まで夫のガードナーを支える存在であったのなら、快く選んだと思う。
[box class=”glay_box”]名前:タンディ・ニュートン(Thandiwe Newton)
生年月日: 1972年11月6日 (年齢 49歳)
出身地:イギリス
身長: 160cm
Instagram:@thandiwenewton
[/box]おすすめ作品3選
[aside type=”boader”]ローマを舞台に、亡命したアフリカ人女性とイギリス人ピアニストの愛を描いた作品。イタリアのおしゃれな街並みと、カメラアングル一つひとつこだわり抜いたカットが世界観に引き込まれてしまう。
暴力、性犯罪、殺人、なんでもアリの禁断のアトラクション<ウエストワールド>を舞台に、アンドロイドの反乱により狂い始めた世界を描いた作品。2018年にタンディ・ニュートンは本作のシーズン2でエミー賞助演女優賞を獲得している。
アメリカを代表するアクションスパイ映画の第二弾。テロ集団に奪われた危険な致死性ウイルスの奪還のために、女盗賊と共に困難なミッションに挑む姿を描いている。
[/aside]さいごに
クライマックスでこそハッピーエンドで終わったものの、けして他人事のようには思えなかった。自分事として捉えると恐怖に近い感情を抱いてしまった。
なにを選択するかで人生はおおいに良くも悪くもなってしまうことがわかった。いい人生を送るためには、選択するためになにが必要であるかを考えることも同じく大切になってくる。
それは身近にいる妻とのコミュニケーションがなによりも大切であり、目の間の問題を解決するための話し合う場、時間が必要なことに気づかされた作品でもあった。
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