映画『最低。』だけど中身は最低ではない作品
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上映時間 | 121分 |
製作国 | 日本 |
監督 | 瀬々敬久 |
音楽 | 主題歌「ふちどり」泉まくら |
配給 | KADOKAWA |
公開日 | 2017年 |
主な出演者 | 森口彩乃(美穂) 佐々木心音(彩乃) 山田愛奈(あやこ) |
AV業界で働く女性は一体どんな人生を歩んでいるのか。なにを思いなにを感じしているのか。価値観にうったえてくる作品となっています。
これらに少しでも興味がある人にはおすすめです。
あらすじ
果てしなく続くかのような日常に耐えきれず、新しい世界の扉を開く平凡な主婦、美穂。家族に内緒で、AV女優として多忙な生活を送る専門学生、彩乃。奔放な母親に振り回されつつも、絵を描いている時だけ自由になれる女子高生、あやこ。そんな境遇も性格も異なる女たちの運命は、ある出来事をきっかけに動き始める…。
人気AV女優、紗倉まなの同名小説を、『ヘヴンズ ストーリー』(10)『64―ロクヨン―』(16)の瀬々敬久監督が衝撃の映画化。どうにもならない現実を前に、それでも自分らしく生きようとする女性たちを力強く、時に繊細に描く。人生を変えるきっかけをつかもうともがく美穂役に、女優としてだけではなく、舞台の企画・演出も手掛ける森口彩乃。AVの仕事を天職だと信じて疑わない彩乃役に、『フィギュアなあなた』(13)『マリアの乳房』(14)の佐々木心音。自分の住む町にもクラスメイトにも馴染めないあやこ役に本作で本格的に女優業を開始した山田愛奈。他にも高岡早紀、渡辺真起子、根岸季衣らの実力派女優が脇を固める。
ラスト、彼女たちの見つめる先には何があるのだろうか。今いる場所から一歩踏み出す勇気をくれる、そんな映画が誕生した。
感想
「紗倉まな」は、すごい人
本作を知ったきっかけは、「新R25」というメディア。そこでAV女優・紗倉まなの「相手本位の仕事論」についてのインタビュー記事を読み、『最低。』の原作者であることを知りました。
紗倉まなという名前だけはなんとなく頭の片隅にはありましたが、AV女優以外にも『凹凸』『高専生だった私が出会った世界でたった一つの天職』『○○(まるまる)な女』『女のコのためのもっともっと愛されるSEX』の書籍を執筆するなど文才にも長けている人物という点に、普通に驚きました。
失礼にも、文章なんて書けなさそうなイメージを抱いていたので、人は見かけによらないなー、と。
経歴を見る限り、かなりストイックな人生を歩んでいることがわかります。そんな彼女から学べることはたくさんあります。
インタビュー記事からもただならぬ人柄であることが伝わってきますし、彼女の人間性に興味が湧き、それならばと『最低。』を観てなにかを学ぼうと思いました。
※ちなみに、インタビュー記事では紗倉まなの仕事観についてめちゃめちゃ良いことを言っています。これは読んだほうがまぢで人生得策だと思います。
▷Twitter(https://twitter.com/sakuramanateee)
AV業界への偏見の目
AVの業種というと、やっぱり偏見の目で見て頭で考えてしまっている自分がいて、頭の良し悪し関係なくただ体を売るだけの商売であると、そのように思っていました。
女性は男性に比べて何度も性行為ができる体の作りになっているみたいですし、感じる演技さえできれば誰もが安易に入れる世界であると、軽率にもそう思っていました。
でも、実際は違っていて。
過酷な世界であると思いますし、世間からはお世辞にも立派に働いているとは胸を張って言いにくい仕事だと思います。
そのことは世間だけでなく、AV女優自身もそう思っている人は実は多いのではないかと思います。
うしろめたさがあるということは……
彩乃が家族に内緒にしてAV女優として働く姿からは、どこかうろめたさというのが感じられました。このうしろめたさというのは、美穂にもありました。
夫とはうまく向き合うことができず、子どもがほしいと話をしてもすぐにはぐらかされてしまい、人生に空虚感というのを感じていました。
彩乃の場合もそうなんですが、このふたりに共通している問題は互いに向き合うことができていないという点でした。
彩乃も美穂もずっと我慢をしていて、伝えたい相手に気持ちを打ち明けることができない。そんな苦しみをずっと抱えていました。
苦しみから解放されたとき
一方で元AV女優の母をもつあやこは、境遇は違えども同じように苦しんでいました。
学校ではAV女優の母をもつ子どもとしてレッテルを貼られ、ゲテモノでも見るかのように毎日冷たい視線を浴び、周りの生徒からいじめられていました。
苦しむあやこを知ってか知らずか、母は向き合おうとはせずわが道を進み自由奔放に生きていました。
そんな母を見兼ねたあやこは、「働かないの?」と母に投げかけます。それに対して母は、「働いたって意味ないじゃん。お母さんまだ働けるしさ。パラサイトもいいよ」と言葉を返します。
母の理解に苦しむあやこ。実の父の訃報を知らされ、弔問を母の代わりに行います。
そこで美穂と出会い、父のあることを聞かされたあやこは動揺し涙を流してしまいます。そこで聞かされたのは、好きなものが一緒だったってことです。
美穂とあやこが抱き合い涙する姿からは、どこか苦しみから解放されたかのうに感じました。
今まで繋がりというものを感じることがなかったぶん、どこか繋がれたような気がしたのかもしれません。
最も○ ○で賞
出演者のなかから、個人的に目に留まった人物を勝手にピックアップしてかっこいいで賞&美しいで賞という名目で表彰しています。表彰の基準は様々で、見た目だけでなく役柄も重要視した上での判断となります。
最もかっこいいで賞
ほぼ消去法ではありますが、作中で日比野役を演じていた森岡龍を選びました。
特に見た目がかっこいいというわけではなく、人間性がかっこよかったというわけでもなく、むしろバーで財布を忘れるぐらいおっちょこちょいで、頼りがなさそうな男の部類です。
ただ、選んだ理由としてはっきり言えるのは、AV業界とは無縁の人物だったからです。
登場人物自体が少なかったのもありますが、ほかの男性陣たちは基本的に女性の気持ちをわかっていないゲスヤローでした。
彩乃とバーで意気投合するシーンは、唯一ほっこりしたシーンでもあります。そのまま彼女彼氏の関係に発展するかと思いきや、そのシーンは描かれておらず、期待していただけにがっかりしました。
「お前は女子か!」と思われるような感想ではありますが、観ればわかると思います。……たぶんね。
最も美しいで賞
意外ではありますが、美沙役を演じていた江口のりこを選びました。
顔だけでいうなら美しいのは美穂役の森口彩乃で、エロさでいえば彩乃役の佐々木心音でした。役柄関係なく可愛らしいと思ったのはあやこ役の山田愛奈で、正直この御三方は、甲乙つけがたいってのはありました。むしろ、それぞれで一番なのかなとも思います。
そういった理由もありますが、どうして江口のりこを選んだのかと言うと、こちらもぜひ本作を観ていただきたいと思っています。
校閲ガールを観たことのある人は特にわかると思いますが、唯一言えるのはギャップに衝撃を受けたからです。
下ネタをああもあっさりと真顔で言う江口のりこに、ある種美しさすら感じました。
校閲ガールでは堅物人間のキャラクターを演じていただけに、ぼくの潜在意識のなかでは脳内にバックラッシュが起こりました。
いやー、これは、あれ、あれですよ。
山口のりこという人物を知る人にとっては、レア物ですよ。
さいごに
タイトルでこそ最低となっていますが、作品の完成度でいえば最高なんじゃないかと思います。
ぼくはこの作品、好きです。
エロいってのもありますが。そのエロさのなかにも知り得ないことが知れたような気がしました。
人気AV女優の紗倉まながどのような文章を書き綴っているのか、原作の「最低。」を少し読みたくなりました。
[voice icon=”http://yoikagen.com/wp-content/uploads/2016/09/IMG_2634.png” name=”バンコ” type=”l”]原作「最低。」が、Amazonだと中古で20円で販売されていました。これは、買えない理由がみつかりません。[/voice]