映画『エルカミーノ: ブレイキング・バッド THE MOVIE』これでシリーズ完結、ありがとうの作品
上映時間 | 122分 |
製作国 | アメリカ合衆国 |
監督 | ヴィンス・ギリガン |
原作 | ブレイキング・バッド |
音楽 | Dave Porter |
配給 | Netflix |
公開日 | 2019年 |
主な出演者 | アーロン・ポール(ジェシー・ピンクマン) ジェシー・プレモンス(トッド・アルキスト) チャールズ・ベイカー(スキニー・ピート) マット・ジョーンズ(バッジャー) ロバート・フォスター(エド・ガルブレイス) |
『ブレキング・バッド』のその後を描いた待望の作品とやらで、物語はシリーズ最終回の直後からはじまります。つっても、その前のことなんてまったく覚えていませんけどね。観たのが10年ぐらいの前のことですし。
でもご安心ください。はじまる前に総集編が流れるようになっています。そのシーンのなかにはハイゼンベルクことウォルターの姿があって、もうそれだけでお腹いっぱいでした。
ありがとう『ブレイキング・バッド』、ありがとう『エルカミーノ』。てな感じで懐かしさ全開で幸先いいスタートが切れました。
やっぱ好っきやなー、ハイゼンベルクというキャラクターは。家族のためにと思ってより多くのお金を得ようとしますが、段々と自身の帝国を築こうとする野心がたまらなくよかったです。めっちゃクールだし、ジェシーとはまるで父と子の関係みたいで相性は抜群でした。
そんなビジネスの相方でもあったジェシーのその後について物語を描いているというわけで、まずは監督、そして製作に携わっている全スタッフへ素晴らしい作品をありがとうとひと言いいたい。
あらすじ
2008~13年に計5シーズンが製作・放送された大ヒットテレビシリーズ「ブレイキング・バッド」の劇場版。がんで余命宣告された高校の化学教師ウォルター・ホワイトが、家族に遺産を残すために元教え子のドラッグディーラー、ジェシー・ピンクマンと組み、麻薬精製に手を出したことから泥沼にはまっていく姿を描いたテレビシリーズの続編となり、主役はピンクマンに。テレビシリーズの最後で捕らわれの身から劇的な脱出を遂げたピンクマンが、自身の未来を築くために過去と向き合う姿を描く。監督・脚本は、テレビシリーズの生みの親でもあるビンス・ギリガン。Netflixで2019年10月11日から配信。
引用:映画.com
感想
褒め称えといてあれなんですけど、やっぱりいないとわかっていてもウォルターが登場しないというのはなんだか物足りなさがありました。ウォルターとジェシーのふたりが揃ってこそ一人前のとのところがあるため、どちらが欠けてしまうとやっぱ物足りない。
まったく登場しないわけではありませんが。回想シーンではジェシーにビジネスの勉強を勧めるぐらいで、これといってぱっとしない印象のシーンでしたし。
ぼくが観たかったのはハイゼンベルクの頃のような熱い展開であって、平和ボケした展開ではありません。
ならば、もう一度『ブレキング・バッド』を観ればよかろうという声が聞こえてきそうですが……うん、その通りだと思います。もう一度観ようと思います。
ジェシーにとって馴染みのある人物が登場していますが、なんとなく顔に見覚えはありました。けど、正直なにをした人なのかがまったくわかりませんでした。
過去にジェシーを監禁していた男のトッドもそう、ジェシーの友人のスキニーやバッジャーもそう。人消し屋のエドに至っては完全に覚えていませんでした。
ウォルターとジェシーの仲間だったマイクとかはなんとなく覚えていたんですけどね。
ジェシーの恋人だったジェーンになると話は別で。めちゃくちゃ可愛かったのもあって記憶にちゃんとインプットされていました。
まぁそれを抜きにしても、つまりこれはどういう意味を示しているのかというと。物語の世界観に浸れなかった、ということになります。致命的ですよね、ご臨終ですよね。
だって……。放送終了から約6年も待たされていたんですよ。(待ってたわけではありませんが)
それまでいろいろな作品を観ているわけですし、詳しい内容なんていちいち覚えてないでしょ。ウォルターの終局ですらあれほど素晴らしい展開だったのにも関わらず、一切覚えていませんでしたから。実際そんなもんですよね。
総集編はだいぶ助かりました。
『ブレイキング・バッド』の放送終了から約6年が経過したのちの『エルカミーノ』って……。なにがすごいかって、役者たちの再現性だと思うんですよね。
見た目の話とかじゃなくて演技のほうで。同じ役柄を当時のようにやれと言われても、どう考えても無茶ぶりなような気がしてなりません。
でもどんだけみなさんプロ意識が高いんでしょうか。見た目の若々しさは失われても言動とかクセとか、その他もろもろ含めてしっかりと違和感なく仕上がっていました。
ジェシー・プレモンスが演じたトッドとかは、普通にまじめな性格だけどサイコパス感を出すのに苦労したんじゃないかなーと思うわけで。
今回も不気味な雰囲気がしっかりと放たれていて、「そうそうトッドはこれこれ、こうでなきゃ」と妙に安心しました。見た目はかなりふくよかになっていましたけど。
6年も経てば見た目なんて変わりますよね。むしろ、変わらない人のほうがおかしいと思うわけで。キャラクターのイメージが崩れなかったのもやっぱり演技がよかったから、ですかね。
最も○ ○で賞
出演者のなかから、個人的に目に留まった人物を勝手にピックアップしてかっこいいで賞&美しいで賞という名目で表彰しています。表彰の基準は様々で、見た目だけでなく役柄も重要視した上での判断となります。
最もかっこいいで賞
なんだろう。急に大人びた感じがして……。あっ、これ見た目の話じゃなくて中身のほうです。このシリーズはスキンヘッドかボーズしか主役を張れないという、一見すると決まり事のような印象にも捉えられますが……いや、そうです。そうじゃないと。
ところで今思うと、とにかくこのシリーズには若者が登場してません。実際は登場しているかもしれませんが、そうなら印象が薄くて忘れました。
渋いオヤジか渋いオヤジしか登場していなくて、かっこいいのはかっこいいのですが完全にぼく好みではありません。
そんなわけで前置きが長くなりましたが、アーロン・ポール演じるジェシー・ピンクマンを選びました。
理由は今まで頼りなかった印象があったのですが、ウォルターからひとり立ちしてからはめちゃくちゃ頼りになる存在になっていました。成長曲線がハンパなく急上昇しているような感じで、勇ましさを身につけられていました。
まぁ、彼は彼で幾度となく死線をくぐり抜けたキャラクターではありますし。ぎゃーぎゃーわめくだけの小坊主だった頃が懐かしいぐらいです。
おでこの広さは前々から気にはなっていましたが。案の定、いい感じにハゲ散らかしていましたし。関係ないかもしれませんが、実はそういうところも含めてキャラクターの魅力を感じたりします。
他人事だからこそそう言えるのであって、外国人ってハゲが似合うどころかかっこよく見えますからほんと羨ましいですよね。……アーロン・ポールって、次はなにをするのかな。
最も美しいで賞
最後の最後で登場したからよかったものの、そうじゃなければ今頃決めあぐねていました。だって、おばちゃんか死体しか登場していませんでしたから。
そんな究極の選択、誰も望みませんし望みたくもありません。
選ばないのもある意味ルールを無視してしまうような形になってしまいますが、それはそれで立派な選択であって……。つまり、場合によってはどうにでもなるってことです。場合によってはですけど。
しかし奥手の使わなくて済みました。女神が空から舞い降りてきたかのように、クリステン・リッター演じるジェーン・マーゴリスが本作に登場してからは一気に士気があがりました。
終わりに近いところだったので、その分の反動も尋常じゃありませんでした。よかったー、ほんと。しかも相変わらずかわいいの極みでしたし。
なぜだろう、『ジェシカ・ジョーンズ』で見るよりもかわいいと思えてしまうのは。好きやなー、このときのクリステン・リッターは。めちゃめちゃかわいいからいちいち妄想が膨らんでしまって、自己コントロールを完全に見失ってしまいました。(笑)
さいごに
結局のところなにが言いたいのかといいますと、これをきっかけに再び『ブレイキング・バッド』を観るのもありだなと思いました。実際観たくなりましたし。本作はそういう役目も果たしているのかなと思います。
ジェシーがこれまで成長できたのも生き延びられたのも、全部『ブレイキング・バッド』があってのことで。面白いとか面白くないとか類の作品ではなくて、シリーズを観た人であれば一見の価値は十分ありますよ。