映画『アリータ: バトル・エンジェル』ただただ最高傑作としか言いようがない作品
上映時間 | 122分 |
製作国 | アメリカ合衆国 |
監督 | ロバート・ロドリゲス |
原作 | 木城ゆきと『銃夢』 |
音楽 | トム・ホルケンボルフ |
配給 | 20世紀フォックス |
公開日 | 2019年 |
主な出演者 | ローサ・サラザール(アリータ) クリストフ・ヴァルツ(ダイソン・イド) ジェニファー・コネリー(チレン) マハーシャラ・アリ(ベクター) エド・スクライン(ザパン) ジャッキー・アール・ヘイリー(グリュシカ) キーアン・ジョンソン(ヒューゴ) |
レビューがやたら高かったこと。しかも数もそれなりに多かったですし。
『タイタニック』『アバター』のジェームズ・キャメロン監督が放つ革新的なスペクタクル・アドベンチャーたるもので。しかも世界64カ国でNo. 1ヒットと聞いて、これはさすがに観ないわけにもいかないと思い鑑賞してみました。
率直な感想、めちゃめちゃ面白いやんこれってなりました。
あらすじ
天空に浮かぶユートピア都市“ザレム”と、そこから排出された廃棄物が堆積する荒廃したクズ鉄町“アイアンシティ”。ある日、サイバー医師のイドはクズ鉄の山から少女の頭部を発見し、新しい機械の身体を与えアリータと名付ける。記憶を失ったままのアリータだったが、襲ってきた敵からイドを守るために戦った際、自分に驚異的な戦闘能力が備わっていることに気づいてしまう。彼女は、300年前に創られた“最強戦士”だったのだ。自分と世界の運命に立ち向かうアリータの戦いが今、始まる!
感想
バーチャルとリアルの融合は全然ありかなと思った
最初、予告編を観たときには違和感はありました。アリータって、人が演じているのがそのまま映し出されているかと思っていましたがバーチャル的なビジュアルじゃんって。特に目がデカすぎていて、どうも受け入れるのに時間がかかりました。失礼な発言になるのは承知の上ですが、正直気持ち悪いとさえ思いました。
もっと小さくてもよかったと思いますが。そんな違和感も観ていると気にならなくなるもので。むしろ興味はアリータのバトルシーンであったり、恋の行方だったり、過去の話だったり……。まぁ、いろいろと見た目のことよりも中身のほうに移ってしまいました。
その影響もあって、あえてのアリータのビジュアルをCGにしたのが正解だったかのように、生身の体では表現できないような超めちゃめちゃ速いバトルの展開だとか、攻撃を避けたり体を切ったり切られたりするシーンは見どころ満載でした。いやー、これは面白い。緊迫感があって非常に面白いと思いました。
『ゴースト・イン・ザ・シェル』も本作を見習うべきかなと
そうそう、実写版攻殻機動隊の映画のやつです。2017年に公開された作品で当時の世間の反応はというと、キャスティングの采配にはずいぶんとバッシングが起こっていたようです。
その原因となった人物は、草薙素子役を演じたスカーレット・ヨハンソンです。原作がアジア人のキャラクターなのにどうして白人女性が選ばれているのか。西洋世界では激しい議論に発展し、人種的不適当、非白人の役を白人が演じるホワイトウォッシングであるという批判まで起こってしまいました。
これ、普通に悲しい出来事ですよね。同じ立場だったらどんな気持ちになるのか考えられなかったのでしょうか。そこまでしなくてもと思いますが、根っからの熱狂的なファンの立場からすれば許しがたいものなんでしょうね。だったらここは安全パイに顔面だけでもCGを使うべきでしたよね。
個人的にはスカーレット・ヨハンソンの草薙素子は全然ありだと思いましたし、むしろ好きでした。言うならば、バトーや荒巻大輔にこそCGが必要かなと思いました。つまりここで言いたいことは、アリータの演出は結構いい路線のアイデアなんじゃないかと思います。
『アップサイドダウン 重力の恋人』はラブロマンスなのに対し
本作はプラス、アクション・アドベンチャーの要素が含まれている作品です。ゆえに楽しみ方は恋の行方がどうのこうのだけじゃなく、ラスボスとの戦いも待ち受けています。
で、そのラスボスなんですが、地球最後の空中都市といわれる”ザレム”にいらっしゃいます。主に富裕層が住んでいる世界で、高々と見下している感が偉そうにしているので本当にムカつきます。
いつかアリータがやっつけてくれることを願わなくても、やってくれるはずです。じゃないと、アリータが恋した相手ヒューゴのことが報われません。一度復活させといてどん底に突き落とすあの展開は、ラブロマンスではあってはならないと思いますが。それが逆に感情が揺さぶられて、面白さに拍車をかけているように思います。
サイボーグであっても、人が抱く繊細な気持ちの部分を持ち合わせているためうるっときましたし。見た目はサイボーグでも中身は人ですから、アリータとヒューゴの恋愛模様にはほんと泣かされました。命をかけた本気の恋愛、真似できねー。
最も○ ○で賞
出演者のなかから、個人的に目に留まった人物を勝手にピックアップしてかっこいいで賞&美しいで賞という名目で表彰しています。表彰の基準は様々で、見た目だけでなく役柄も重要視した上での判断となります。
最もかっこいいで賞
ヒューゴ役を演じたキーアン・ジョンソンを選びました。理由は単純に男としてかっこいいなあと思ったからです。
たとえば、アリータと出会ってから自分のやっていることに疑問を抱き、強盗から足を洗うために仲間に脱退の旨を伝えるシーンがあるのですが。普通に男から見てかっこいいと思う行動です。察するに、かなりの勇気がいると思うんですよね。それを覚悟決めてビシッと決めるヒューゴには、かっこいいと思う感情以外なにが感じられるでしょうか。
大切な存在を命をかけてまで守ろうとするその姿勢こそが愛なんだと気づいたときには、もうそこにはかっこよさしか残っていませんよね。
素敵な男性像やわーって思う。って、キーアン・ジョンソンについてネットで調べようと思っていたら誰やねんこの方。一気にしらけてしまいました。彼の詳しい情報についてはほかをあたってください。
最も美しいで賞
やはりここはヒロインでもあるアリータを選びました。そんな彼女について、完全なるCGで作られたキャラクターかと思ってましたが、実際はローサ・サラザールという女優さんが演じられていました。
で、ここでさらに驚いたのが、その女優さんの美しさです。普通どころかめちゃくちゃ美しい容姿をしていて、しかも原作のアリータ(ガリィ)にそっくりでした。えっ、これだったらCGいらないじゃんとさえ思ってしまうほど似ていて、今だからこそ言えますがそのままでもよかったですよね。
モーション・キャプチャーで撮影するの大変だったと思いますし。そんな大変な役柄を演じきった彼女にこそふさわしい賞なのかなと思います。代表作としては、『メイズランナー』や『ダイバーシティ』などがあります。
すっかりSF映画の顔として活躍されているようで、今のところ本作以降で出演の予定はありませんが、今後の活躍も見逃せません。
さいごに
ジェームズ・キャメロン監督が25年もの間「作りたくてしょうがなかった」超大作アリータは、劇場公開日を2回ずらしてまでこだわりぬかれた一級品です。具体的にどの辺の部分をこだわったのか詳しい内容はわかりませんが、あっさりした物語を華やかに彩るかのように世界観や演出は素晴らしいものがありました。たぶん、そこなのかなと思いました。
『タイタニック』よりかは……。『アバター』よりかは……。といった感じに、けして比べられるようなものでもありませんが、これだけは胸を張って言えるかと思います。
・・・観なきゃ損。