映画『SUNNY 強い気持ち・強い愛』笑って泣いて悲しんで、また笑ってほっこりする作品
上映時間 | 119分 |
製作国 | 日本 |
監督 | 大根仁 |
音楽 | 小室哲哉 |
配給 | 東宝 |
公開日 | 2018年 |
主な出演者 | 篠原涼子(阿部奈美) 広瀬すず(阿部奈美) 板谷由夏(伊藤芹香) 山本舞香(伊藤芹香) 小池栄子(裕子) 野田美桜(裕子) ともさかりえ(心) 田辺桃子(心) 渡辺直美(梅) 富田望生(梅) 池田エライザ(奈々) 三浦春馬(藤井渉) リリー・フランキー(中川) |
好き、好き、好き、好きすぎるこの作品。
コギャル時代を思い返すと、姉がよくやってたなー、と。ふと懐かしさが蘇ってきます。
その当時の高校生といえば、ミニスカートにルーズソックス+厚底ブーツが定番スタイル。日焼けサロンでこんがり焼かれた肌やロングヘアに茶髪は当たり前でした。
それに剃り落としたあとに描く極端な細眉もかなり特徴的で。
なんといっても、当時社会現象にまでになった第1ギャルのカリスマ的存在でした安室奈美恵さんは、この時代を語るうえで欠かせない人物のひとりです。「アムラー」という言葉が誕生するぐらいですから。
劇中に使われている楽曲なかで一番多かったのも、そのことを象徴していたといえるのかなと思います。
まあ、ここで長くなるとあれなんで。とにかく1995年~2000年初頭に青春を謳歌した人にとっては、いろいろと心がえぐられてしまう作品であることは間違いありません。観なきゃ損です。
あらすじ
日本中の女子高生がルーズソックスを履き、空前のコギャルブームに沸いた90年代、そんな時代に青春を謳歌した女子高校生の仲良しグループ「サニー」のメンバー6人は、20年以上の時を経てそれぞれ問題を抱える大人になっていた。専業主婦の奈美は、ある日、久しぶりにかつての親友・芹香と再会するが、彼女は末期ガンにおかされていた……。「死ぬ前にもう一度だけ、みんなに会いたい」。芹香の願いを叶えるため、奈美が動き出す。裕子、心、梅、そして奈々……、かつての仲間は無事、芹香の前に再集結できるのか?
感想
懐かしいと思うような仕掛けがいっぱい
ひと言でいい表せないほど、ほんといろいろと懐かしなーと感じるものがあって。
楽曲でいうと、Charaさんの「やさしい気持ち」(1997年)が流れたり、久保田利伸さんの「LA・LA・LA LOVE SONG」(1996年)が流れたり。より一層作品の世界観に浸れました。
そのほか以下の楽曲が使われていて、どれも平成を代表する最高の楽曲です。
CANDY GIRL / hitomi(1995年)
EZ DO DANCE / trf(1993年)
ぼくたちの失敗 / 森田童子(1993年)
これが私の生きる道 / PUFFY(1996年)
そばかす / JUDY AND MARY(1996年)
survival dAnce~no no cry more~ / trf(1994年)
Don’t wanna cry / 安室奈美恵(1996年)
強い気持ち・強い愛 / 小沢健二(1995年)
SWEET 19 BLUES / 安室奈美恵(1996年)
なかでも安室奈美恵さんの「Don’t wanna cry 」(1996年)と「SWEET 19 BLUES」(1996年)は別格で、劇中でも感動をさそうような場面で使われているため、当時もそうでしたが特別な楽曲になりました。鑑賞後は間違いなく聴きたくなります。
ありがたいことに、6月16日から安室奈美恵さんの楽曲がApple Musicで全曲独占配信されるようになったので、ナイスなタイミングでした。ほんとありがたい、ありがたや。
映像だけでなく音楽を通して過去の懐かしい記憶が蘇ってくるので、それだけでも十分価値がありました。ほんと、面白すぎる。
個性派キャストが勢揃い
面白いもなにも本作でひと際目立っていた人物といえば、小池栄子さんと渡辺直美さんのふたり。
「てめー、ぶっ殺すぞ!!!」と怒鳴りをあげるのは小池栄子さん演じる裕子。キャラクターというか自身の体型を活かしたギャクを放つのが渡辺直美さん演じる梅。
SUNNYグループのなかでこのふたりは、絶妙なバランスがとれていました。大人になったときが特に。
毒を吐く裕子に対して、優しい性格の梅の反応がこのふたりのキャラクターを活かしているんだなと思いました。じゃないと、普通ケンカに発展しますから。
まあ、あんなにも気持ちよくストレートに言われてしまえば、怒りの感情を通り越して笑いになったりするかもしれませんが。
やっぱり思うのは、小池栄子さんが面白いってことです。演技というよりも素なんじゃないかと思ったりします。いや、あれは素でしょー。普段からも言ってそうですし。
新井浩文さん演じる営業の上司の新井氏から怒鳴られる梅の反応も、ここ一番ってときに笑いを誘ってましたし。あれはあれで、渡辺直美さんがネタでやっていたようなそのままの反応でした。だからこそ面白さも普段どおりで。
ところで篠原涼子さんが制服姿のコスプレに扮した状態で、安室奈美恵さんの「SWEET 19 BLUES」を歌う姿はオチとしては最高でした。娘に見られてしまい、嫌なタイミンで気まずい雰囲気が流れるシーンは、クスッと笑えました。
広瀬すずさんが過去。、史上最強に弾けてた
これは個性派とかの問題ではなくて、純粋にやばかったです。
白目向くところとか、怒り狂うところとか、ピザを投げるところとか。そんな彼女の姿を未だかつて見たことがありません。それゆえに、新鮮味がありました。
その姿を見て衝撃を受けたというよりも、こんなこともできるのかと不意を突かれた感じでした。そうですね、これは『銀魂』のときの橋本環奈さんに通ずるものがありました。
一見すると清純派で醜いことは一切しないように思いがちですが、そんなことはなく。まったくの逆で、むしろ体張っているなと思います。
今までどちらかといえば、彼女自身のキャラクターがメインの演技が目立っていましたが、今回ばかりは1本ネジが外れた演技ができていて、それが逆によかったです。
普段からも頑張られていると思いますが、その頑張りにますます応援したくなりました。
最も○ ○で賞
出演者のなかから、個人的に目に留まった人物を勝手にピックアップしてかっこいいで賞&美しいで賞という名目で表彰しています。表彰の基準は様々で、見た目だけでなく役柄も重要視した上での判断となります。
最もかっこいいで賞
クールビューティーの名にふさわしい人物といえば、そうこの方です。今回は奈々役を演じていた池田エライザさんを選びました。
今もっとも旬な女優さんのひとりです。
そんな彼女が演じた奈々という人物は、当時ギャル雑誌として一世を風靡したといっても過言ではない「egg」のモデルを務める高校生。
SUNNYグループのなかでもクールなキャラクターとして位置していて、でも内心はみんなともいっぱい弾けて仲良くしたいというのが本音で。劇中でもその辺のシーンが描かれていました。
はじけたいけどクールでいないといけない気持ちにえらく共感できました。
なんでしょうかね、そうしなければいけないという強迫観念的なものは。自分の立ち位置というか、周りのバランスを考えてこうしたほうがいいと自然とそうなってしまうあの感じ。
グループを作れない人からすれば贅沢な悩みなんでしょうけど。その時々の状況で悩みは尽きないものですね。
話は変わりますが、広瀬すずさん演じる阿部奈美のことを羨むところとか、本当は仲良くしたいけどツンツンしているところとか、母がころころ変わる複雑な家庭で育ったところとか。
モデルのポージングする姿は個人的には、心にグッとくるものがありました。そうですね、これは恋心のようなそんなときめきの感覚です。
見た目が美しいうえにケンカも強くて、文句ひとつありません。しいてあげるなら、こんな高校生この世に存在するのかな。
最も美しいで賞
こちらの賞に関しても池田エライザさんを表彰したかったのですが、えこひいき気味なのがみえみえともあり、ここは平等に高校生の伊藤芹香役を演じた山本舞香さんを選びました。まあ、正直、平等かどうかはわかりませんが。
恥ずかしながら、彼女を二階堂ふみと勘違いをしてました。
なんでしょうかね、顔のつくりとか。個人的には似てるよなーと思いましたが、あとで見比べてみたらそうでもなくて、なんだったんでしょうかね。
そんな彼女が演じた伊藤芹香という人物は、ひと言でいえばSUNNYグループのリーダー的存在です。人望が厚くそれでいて考えもまっすぐで、道徳に反することは嫌いで許さない性格の持ち主です。
常に友人のことを大切に思っていて、大人になった彼女はいくつもの会社を経営するバリバリのキャリアウーマンです。
現実問題、近寄りがたい人物ではありますが、その生き様はかっこいいと思います。こんな人が上司だったらとか社長だったらとか、何度そう思ったことか。
実際はこういうことは言えませんが、彼女を目の前に「ぜひ、ついていかせてください」と気持ちを伝えたい。そうすれば、わたしの人生も今よりももっといい方向へ進むのかな。笑
さいごに
久々に心が温まりました。邦画の良さが存分につまっている作品だと思います。懐かしさを感じつつ、笑えたり切なくなったり、119分もの間で、ずいぶんといろいろな感情と巡り合っては処理をして。ほんと、楽しかったです。
女子はなにかといろいろなグループを作ってしまう習性があるようですが、ただ言えることはSUNNYグループって楽しそうです。そして、わたしもそんな仲間に入れてほしいと心からそう思いました。だけどあれかな、わたし男子だし、無理な願いだなー。