『ONE PIECE FILM GOLD』テゾーロの悲しき過去が泣けてくるぜ!
上映時間 | 120分 |
製作国 | 日本 |
監督 | 宮元宏彰 |
音楽 | 林ゆうき 小島麻由美(劇中曲) |
配給 | 東映 |
公開日 | 2016年 |
主な声優 | 田中真弓(モンキー・D・ルフィ) 中井和哉(ロロノア・ゾロ) 岡村明美(ナミ) 山口勝平(ウソップ) 平田広明(サンジ) 大谷育江(トニートニー・チョッパー) 山口由里子(ニコ・ロビン) 矢尾一樹(フランキー) チョー(ブルック) 山路和弘(ギルド・テゾーロ) |
どうも、バンコです。
2016年に公開されたワンピースの最新作『ONE PIECE FILM GOLD』が、12月28日よりiTunesにて配信されていたので鑑賞してみました。
すんげぇー、面白いとまではいかなくても、まあ、面白かったという感じの内容でした。
うーん、観ても観なくてもどっちでもよかったかな。
個人的には、前作の『ONE PIECE FILM Z』(2012年)のほうが、登場キャラクターやストーリーとか、ルフィーたちが着る衣装や主題歌とか、全部含めて好きでした。
ストーリーとか、まぢ感動ものでしたから。くぅー。
本作は観る前から期待してしまうと、ややがっかりしてしまうかもしれませんので、時間があるときにちょっと映画でも観ようかなあという、気楽な感じで鑑賞することをおすすめします。
では以下、感想を書いてます。
感想と言っても、ギルド・テゾーロを擁護するような記事です。
あらすじ
世界中の大富豪たちが集い、昼夜問わずショーやアトラクションが繰り広げられる世界最大のエンターテインメントシティ“グラン・テゾーロ”へ乗り込んだ麦わらの一味。
そこは世界政府すら手を出すことのできない“絶対聖域”で、海軍も海賊も関係なく、誰もが街のルールに則ってカジノやアトラクションに興じていた。
色めき立つルフィたちの前に現れたのは、金の力で世界政府ですら容易く動かし、天竜人をも懐柔するほどの権力を持つ“黄金帝”ギルド・テゾーロ。
すべてが豪華絢爛なその街の裏では、テゾーロによる圧倒的な支配が渦巻き、ルフィたちはなすすべもなく街の非情なルールに飲み込まれていく・・・。
そんな中、テゾーロから天竜人への「史上最高額の天上金」の存在が明らかとなり、その支配力は世界を揺るがすほどの暴走を始めていた。
遂に動き出してしまった新世界の“怪物”に、ざわめき始める世界政府、そして革命軍――。
「自由とは、支配とは」この海を制するための答えを懸けて今、ルフィたちの信念を掛けた闘いが幕を開けようとしていた。
引用:『ONE PIECE FILM GOLD』公式サイト
感想
テゾーロはそんなに悪いヤツじゃないのかも?
今回、ルフィたちの前に立ちはだかる敵のギルド・テゾーロ。
テゾーロのことについて少し説明します。
巨大黄金船”グラン・テゾーロ”に君臨するカジノ王で、”ゴルゴルの実”の能力者です。
世界の20%のベリーを掌握する超大富豪で、世界政府をも動かせるすごい力があります。
それでいて、根っからのエンターテイナーです。
で、そんなテゾーロですが、作中では気に入らない人をゴールドにして固めるなど、理由が自分よりも先に笑ったからと、はたから見ると理不尽に思えるような性格の持ち主です。
これにはワケがあります。
それに、お金ですべてを支配しようとします。グラン・テゾーロの船の上は、すべてテゾーロの支配下になってて、彼のいいように世界が回っています。
テゾーロは、金さえあれば誰でも自分の支配下に置けると思っています。
これにはワケがあります。
このような人間性が確立されたのも、テゾーロの悲しい過去にすべての理由があります。
自分よりも人が先に笑うことを嫌がる理由
これは、彼が経験した奴隷生活の時代が大きく反映していると思われます。
テゾーロは、若かりし頃に天竜人に歯向かうなど大罪を起こしています。
そのことが原因で、マリージョアへ連行され奴隷生活を送ることを余儀なくされます。
そこで、天竜人から勝手に笑うことを禁じられます。
このときテゾーロは、権力者を前に自由がないことを悟ります。
この世はお金がすべてと思っている理由
これには、ある人物との出会いと別れがテゾーロの人間性を大きく変えてしまいました。
テゾーロの人生を変え、人格そのものを変えたと言っても過言ではありません。
その過去とは、奴隷生活を送る前にさかのぼります。
テゾーロは、とあるヒーマンショップで1人の女性と出会います。
女性の名はステラ。彼女は、父親のギャンブルの借金代わりに売り飛ばされていました。
2人はやりとりを交わしているうちに恋に落ち、テゾーロは彼女を買い取り自由にしてあげたいと一心に3年間休まず働きました。
しかしその想いも虚しく、突然訪れた天竜人によってステラを買い取られてしまいました。
その際、ステラが残した言葉「自分の為に働いてくれたことが何よりも嬉しかった。自分は世界で一番の幸せ者」とテゾーロに伝えます。
怒りに満ちたテゾーロは天竜人に立ち向かうが、SPを目の前に玉砕します。
彼の奴隷生活は、このことがきっかけではじまります。
ステラと同じ奴隷の身分になったテゾーロは、もしかしたらステラが同じマリージョアにいるかもしれないと淡い期待をもちますが、時すでに遅し。
ステラが亡くなったことを知ります。
”お金がなかったからステラは死んだんだ!”と、テゾーロは自らを戒めます。
ここで彼の人格は、非道なものへと変化を遂げてしまいます。
この悲しきテゾーロの過去が、彼の人間性をつくり自らが権力者として世界を支配しようと動かされたきっかけなのです。
作中ではここまで詳しく説明されていないので、気になる点をネットで調べてみると、このよな事実を知ることができました。
現時点でやっていることは非道でも、実はその裏腹には彼が歩んできた人生のなかで、環境や人が大きく影響していることがわかりました。
どんな悪役でも必ずそこに至った経緯があり、理由があり、悪いから倒すべきだと思うのではなく、目を覚ませるといった見方で捉えると、また違った正義の概念をつくりあげられるんじゃないかと思います。
ルフィが倒すべき相手はテゾーロのような悪役ではなく、極道非道の天竜人なのかもしれません。
なんとなくテゾーロのやることなすことに共感できてしまう!
人は何がきっかけで変わるかわかりませんが、これほど衝撃的な出来事を経験しているのであれば、変わらない人のほうがおかしいのでは?と思ってしまいます。
だって、不本意にも大切な人を失ってしまったのですから。
相手が権力者であろうがなかろうが、そんなの関係なく恨んでしまいますよ。このシチュエーションは。
虎視眈々と富や名声を手に入れ、そして力を身につけ、いつかはこの手でやってやろうというテゾーロのこの気持ち。
すごく共感します。
綺麗事じゃない、いい人間に思われなくてもいい。後悔の念が取り除けるのなら、なんだってやってやろうという気持ちになることはごく自然なことだと、ボクはそう思います。
だからといって、罪のない人を傷つけてはいけないとは思いますけど。
きっとテゾーロには、心のはけ口がなかったんだと思います。
ステラのいないこの世界で、虚しさや怒りをどこへ向けたらいいのかわからず、日々自責の念にかられたことでしょう。
テゾーロがルフィに負けてしまったのも、諦めないルフィの姿が自身の過去の姿と重なったからで。
過去に自分がそうであったように、諦めずまっすぐと突き進むルフィの姿は、ステラと過ごしたあのときの自分にそっくりだったんだと思います。
そんな心のなかで一瞬垣間見えたテゾーロの善の心が勝敗をわけました。
くぅー、なんだか泣けてきます。
さいごに
鑑賞中、テゾーロは本当の悪党なのか?と、疑問に思う場面があったので、ネットでいろいろと調べてみました。
予想通り、テゾーロは悲しい過去を抱えていました。
それもかなり深い悲しみを。
今回この記事を読んだ方は、テゾーロに対しての見方も変わっていることでしょう。たぶん。
改めて『ONE PIECE FILM GOLD』を鑑賞してみると、また違った気持ちで作品を楽しむことができると思います。
なんの予備知識なく観てみましたが、テゾーロの過去について情報収集しているときのほうが、作品を鑑賞しているときよりも面白かったような気がします。(笑)
そんなオチで締めくくりたいと思います。