映画『ブラックパンサー』アフリカ系アメリカ人の歴史を知らないとなにが傑作だったのかわからない作品
上映時間 | 134分 |
製作国 | アメリカ合衆国 |
監督 | ライアン・クーグラー |
音楽 | ルドウィグ・ゴランソン |
配給 | ウォルト・ディズニー・スタジオ・モーション・ピクチャーズ |
公開日 | 2018年 |
主な出演者 | チャドウィック・ボーズマン(ティ・チャラ / ブラックパンサー) マイケル・B・ジョーダン(エリック・“キルモンガー”・スティーヴンス / ウンジャダカ) ルピタ・ニョンゴ(ナキア) ダナイ・グリラ(オコエ) マーティン・フリーマン(エヴェレット・ロス) ダニエル・カルーヤ(ウカビ) レティーシャ・ライト(シュリ) ウィンストン・デューク(エムバク) アンジェラ・バセット(ラモンダ) フォレスト・ウィテカー(ズリ) |
アメリカで社会現象にまでなったと言われている『ブラックパンサー』。世界歴代興収では、『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2』、『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』、『アナと雪の女』を超えて9位にまでなりました。
ヒーロー単独のシリーズとしては圧倒的な人気を誇り、アイアンマンですら足元にも及ばないほど驚異的な大ヒットとなりました。観ないわけにもいかないと思い、7月4日(水)のレンタル開始と同時に鑑賞してみました。
あらすじ
アフリカの秘境にあるワカンダで産出される鉱石ヴィブラニウムは、全てを破壊してしまうほどのパワーを持つ。歴代の王は、悪用されないように鉱石の存在を極秘にしていた。若くして王になったティ・チャラ(チャドウィック・ボーズマン)は、謎の男エリック・キルモンガー(マイケル・B・ジョーダン)がワカンダに潜入しようとしていることを知り……。
引用:シネマトゥデイ
感想
知識がなさすぎてなにがよかったのかわからない
世界歴代興収9位というからどれほどの内容なのか期待値も高かったのですが、あれっ?これって普通?…。アフリカの小国ワカンダの国王の座を巡って2人の黒人男性が戦いを繰り広げる話で、さほど特別なことは感じられず、むしろ至って普通ともいえる内容でした。
どの辺が社会現象にまでなるほどの内容だったのか、全然わかりませんでした。ボクにはただの身内の揉め事にしか見えませんでした。ほんと、どの辺のなにが凄いのかわからなかったので、鑑賞後その答えを見つけにネットの海へとダイブすることにしました。
こちらの記事に答えらしきものが書かれていました。
アフリカ系アメリカ人、奴隷、貧困、難民問題、差別問題などのキーワードから黒人の歴史が色濃く反映している作品であることがなんとなくわかりました。まあ、黒人が歩んできた歴史をさほど知らないからいまいち感情移入することはできませんが。
その辺のことをわかっているのといないのとで、まったく違った内容に映ってしまうのは間違いありませんね。
要はライオキングの世界にテクノロジーが融合したものなんじゃないかな
動物こそ出てきませんが、人間社会版のライオキングだと思うんですよね。この作品。
100%そっくりなシーンとかありますし。国王を巡るティ・チャラとエリック・スティーヴンスの関係性だとか、部族の存在だとか、儀式の様子とか、控えめに言ってこれってライオキングなんじゃないかなと思いました。
実際、ワカンダの先代国王ティ・チャカの亡き後、新国王に即位したティ・チャカにこそハクナ・マタタというセリフがぴったりだと思うような内容でしたし。誰でもいいからこのセリフを投げかけてやれよと思いましたが、紆余曲折経てブラックパンサーが立ち上がる姿はなんの驚きもありませんでした。
至ってごく普通の展開で、さほど緊迫したシーンもなく、息を呑むどころか終始コーラ片手にリラックスムード全開で余裕の鑑賞をしてました。ザ・ド定番なので過度な期待は禁物です。
ただし、ヴィブラニウムの力で発展したワカンダの国のテクノロジーは見ものではあります。アイアンマン以上にアイアンマン化しているので驚きと発見の連続です。まぢでワクワクして、たまんねーです。
ブラックパンサーよりも・・・
個人的な意見にはなりますが、ヒーロー単体映画としてはやっぱり『キャプテン・アメリカ』に軍配が上がります。というよりも、キャプテン・アメリカのほうが単純に好きってことなんですけどね。
ブラックパンサーは立ち位置的に微妙なんですよね。
ハイテクスーツの面ではアイアンマンと被っていますし、身体能力の強化の面ではキャプテン・アメリカと被ってて、要は良いところをつまんだだけの集合体というだけで個性としては薄いのかなあと感じます。
スーツを身に纏ったヒーローの部類では、スパイダーマンとかはクモ特有の糸がありますし、アントマンであれば小さくなったりして十分な差別化が図れています。ブラックパンサーにもクロー(爪)という特徴がありますが、まあ、地味ですよね。スーツに備わっている攻撃を吸収して放出する機能も、アイアンマンで実現しようと思えば可能だと思いますし。
これといって特別感がなさすぎて、もうちょっと差別化がはかれるような特徴というかキャラクターにしてほしかった、そんな思いです。
最も○ ○で賞
出演者のなかから、個人的に目に留まった人物を勝手にピックアップしてかっこいいで賞&美しいで賞という名目で表彰しています。
表彰の基準は様々で、見た目だけでなく役柄も重要視した上での判断となります。
最もかっこいいで賞
対象が人でなければブラックパンサーのスーツを挙げていましたが、そもそもの主旨が人ということなので、挙げるとすればエリック・スティーヴンスを演じたマイケル・B・ジョーダンになります。
作中では数少ないワカンダの秘密を知る人物のひとりで王位を狙う今回のヴィランです。
ヴィランのなかでも今までにないタイプで、どちらかといえばそこまで禍々しい感じではありませんでした。一家への復讐と父の願いを叶える一心で戦う姿は意外にも共感しやすいキャラクターでした。なによりもドレッドヘアーがいかしてました。
ちなみにどこかで見たことのある俳優だなあと思って調べてみると、ハッとしました。映画『クリード チャンプを継ぐ男』で主役を張っていた俳優でした。どおりで見たことがあったわけです。ああ、すっきりしてよかったです。
最も美しいで賞
うーん、こちらの賞はずいぶんと悩みましたが、挙げるとすればシュリを演じたレティーシャ・ライトになります。
ワカンダ王国の王女にも関わらず規格外のやんちゃ加減でグッときました。しかも16歳にしてブラックパンサー・スーツや様々なツールを創り出す天才科学者・発明家という…。グッとこないわけがありません。役柄としては、感情表現が豊かでその辺がとても可愛らしく思います。
本作ではじめて知った女優で、ネットで調べてみても十分な情報は掲載されていませんでした。残念…。ただし、出演した映画やドラマに関しては掲載されていました。
映画は、『トレイン・ミッション』(2018)のときにスケートボーダー役として出演、『ブラックパンサー』 (2018)のときにシュリ役で出演、『レディ・プレイヤー1 』(2018)のときにレブ役で出演、『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』のときに同じくシュリ役で出演しています。
ドラマは、『ドクター・フー』(2015)、『ヒューマンズ』(2016)、『ブラック・ミラー』(2017)に出演していて、まあ、映画にしてもドラマにしてもタイトルだけ見るとかなり有名どころに出演していることがわかります。これからもしかしたらハリウッドの大女優に化けるかもしれない、そんな可能性を感じています。
さいごに
ボクのなかでブラックパンサーというキャラクターはけっこう地味なヒーローの部類なので、どちらかといえばあまり好きにはなれません。見た目的にはかっこよくていいのですが、なんせ攻撃も地味ですから強いのか弱いのかいまいち微妙に感じています。
まあ、肝心要の作品の総合評価としては、いろいろな発見があってなんだかんだいって楽しめたのでよかったと思います。次作『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』ではワカンダ王国は重要なシーンとして描かれていますので、インフィニティ・ウォーのために本編を観るのが良いかと思います。