『神様メール』世界一ゲスい神様と世界一素敵な女の子の物語が色々シュールすぎて面白い!
上映時間 | 115分 |
製作国 | ベルギー、フランス、ルクセンブルク |
監督 | ジャコ・ヴァン・ドルマル |
音楽 | アン・ピエールレ |
配給 | アスミック・エース |
公開日 | 2015年 |
主な出演者 | ブノワ・ポールヴールド(神様) ヨランド・モロー(女神) ピリ・グロイン(エア) カトリーヌ・ドヌーヴ(マルティーヌ) フランソワ・ダミアン(フランソワ) |
どうも、バンコです。
パッケージにしても予告にしても、不思議な雰囲気を醸し出している本作に引き込まれ観てみました。
すごく面白いとはまではいかなくても、ちょいちょい笑えるシーンがあって地味に面白い作品でした。
個人的にはレンタルしてよかったと思える作品です。
登場人物の設定やストーリーがとてもシュールで、こんな映画もありかなって思えます。
特に作中に登場する神様は、ボクのなかでツボでした。娘に平然とDVをするわ、罵声を浴びせるわ、不衛生な格好な上にハゲ散らかしているわで、すべてがクレイジーにぶっ飛んでいました。これ本当に神様なの?って思ってしまうほど。
今までボクが思っていた神様とは真逆の存在すぎて笑えます。性格がひん曲がったクソ神様とは、まさにこやつって感じです。
でもなんでだろうね。やること最低最悪でゲスいのに、人間臭漂ってて最高と思えるのは。不器用すぎて可哀想に思えるからかな。ある種、同情みたいなものからそのような感情が芽生えているのかもしれません。
では今からは、そんな本作の魅力について紹介したいと思います。
あらすじ
まずあらすじはこんな感じ。
“神様”は 実在し、家族と一緒にベルギーのブリュッセルに住んでいる。実は相当に嫌な奴で、自分の部屋のパソコンで世界を管理しているのだが、面白半分に事故や災害を起こしたりしている。そのことに憤慨した10歳の娘エアは、一歩も出たことのなかったアパートから家出することを決意!その前に、家族は立入禁止となっている父親の部屋に忍び込み、パソコンを勝手に使って世界中の人々にそれぞれの死期を知らせるメールを送ってしまう。そして膨大な人間ファイルから選んだ数名を一人一人救済しようと街に繰り出すエア。彼女を追って“神様”も街に出るのだが…。
引用:filmarks
※以下の記事にはネタバレを含む記載があります。
感想
こんな神様今までみたことない!
みなさんは、神様というとどのようなイメージを持っていますか。
個人的には穏やかな性格で、いつも天から温かく見守ってくれている仏のような存在。そのようなイメージがあります。(あっ、ボク、仏教とか宗教の回し者ではありませんので)
でも本作に登場する神様は今まで見たこともないぐらい最低最悪のゲス野郎でして、気性が荒く何か気に入らないことがあるとすぐに怒鳴り声をあげたりして。また感情が爆発すると、ベルトで娘を叩くDV男でもあります。
よくこんな話を聞いたことはありませんか。本来一家の大黒柱である夫が働かないで毎日といっていいほど酒ばかりを飲んで、口を開いたかと思ったら暴力を振るう、ドラマみたいな人間がいるということを。
これ完全に最低最悪の人間のすることですよね。本作に登場する神様はちょうどこんか感じです。
そんな映像、とてもじゃないけど子供には絶対見せられません。
神社に行くと両手を添えて祈りを捧げる相手に、変なイメージをもたれてしまいそうで教育上悪影響ですからね。
作中の神様は、ガチで不快な思いしかしませんから。家族で鑑賞なんて間違ってても絶対しちゃいけませんよ。
ストーリーや登場人物の設定が色々とシュールすぎて笑える!
そう、とてもシュールなんですよね。この映画は。
余命宣告をメールで受け取れるストーリー設定の時点で、製作者側による発想力の豊かさを感じます。また世界を創造するための道具が古びたパソコン1台ってのは、ある意味センスしか感じません。
それに神様なのにパソコンがないとほかは何もできず、普通に地球上でボコられるなんて、オイ!オイ!自分で創った世界なのに可哀想だなあ、こりゃ、てな感じだし。色々悪事を働きすぎて、しまいには神父からもボコられるなんて、可哀想を通り越してむしろ惨めすぎます。
そのほかにも、作中に登場する殺し屋のフランソワと美女のオーレリーが付き合う動機なんてのもめちゃくちゃ意味不明だし。
もっといえば、夫との関係が冷めた主婦のマルティーヌがゴリラに恋をして付き合うくだりとかも、気持ちはわからなくもないけど子供ができるなんてどう考えても無理があるだろうと、色々とツッコミどころ満載な感じです。
ゴリラが普通に人間のような生活を送っているとか、こんな面白いことは一体誰が考えたんでしょうね。
まあ1番羨ましいと感じたのは、マルクというセックス依存症の男の人生です。
運命の人に出会ってからというものの、彼が見るすべての女性が丸裸状態ですから。
つまり、彼の脳内を映像化しているシーンが流れるというわけです。
ボクから言わせてもらえば、ただの変態妄想ヤローですよ。マルクは。
そんなマルクも最終的には、その運命の人と再会を果たし付き合うことになりましたから、人生が丸く収まってほっこりな感じです。
社畜状態から旅人へ転身したジャン=クロードという1番まともな人物も登場しますし。
母と医者の陰謀で病気になったウィリーとかは、死ぬ前に女になりたかったと開放的になるシーンとかは、いさぎよくていいです。
そんな彼らを題材に「新・新約聖書」なるものをつくるのですが、ホームレスから一躍有名作家となったヴィクトールはハッピーエンドになってよかったと、これまたほっこりしました。
あっ、忘れてた。神様の住む世界と地球をつなぐ通路がドラム洗濯機ってのも、中々のシュールでした。
と、このような感じでストーリーにしても登場人物にしても、設定の至るところがシュールすぎてクスクス笑える作品です。
女神が作る世界は美しい!でも、なんだか物足りない!
女神の力を抑制し思うままに世界を創造していた神様も、地球に降りてからは元の場所に戻れなくなり、最終的に主導権が神様から女神にうつっしまいました。
で、女神が創造する立場になってからは、地球上では一体どんなことが起きたのかというと。
空には色鮮やかな花びらをデコレーション。女性ではなく男性が妊娠する生態系へと変更。一つ目の人間が誕生。と、神様とは違ったテイストの世界を創ってしまいます。まったくもって奇想天外ですが。
これがいいのか悪いのか判断できませんが、女神が創る世界は共通して地球上のみんなが幸せに生活しているってことです。
犯罪のない誰もが安心できる世の中といいますか、よりよい世界を創造しようとしている印象を受けます。
でもこれってよく考えると、退屈じゃねえ?と思ってしまいます。
何も平和が悪いという話ではありませんが、生き物同士の摩擦を極力少なくしているというか、争いとか、妬みとか、憎しみとか、怒りとか、人間の嫌な部分が抑えられていて女神の世界は美しいのです。
ただそれだと物足りないのです。
それなら神様が創った世界のほうが、何十倍何百倍と人間らしさがあって美しいと感じる内容のものでした。チャンチャン。
さいごに
ベルギー映画をはじめて鑑賞してみましたが、思っていたよりも普通に楽しめました。
まあ、たまたま鑑賞した作品がよかっただけの話かもしれませんが。
人生とか生き方とか、将来のことを考えたい人にはおすすめの作品です。
今の人生に悩みや迷いが生じているという方は、ぜひ観てみてください。解決の糸口が見つかるかもですよ〜。