映画『FREAKS フリークス 能力者たち』父親目線で観ると辛いものがある作品
上映時間 | 105分 |
製作国 | アメリカ合衆国 カナダ |
監督 | ザック・リポフスキー アダム・スタイン |
音楽 | ティム・ウィン |
配給 | アット エンタテインメント |
公開日 | 2020年 |
主な出演者 | エミール・ハーシュ(ヘンリー) ブルース・ダーン(アラン) レクシー・コルカー(クロエ) グレイス・パーク(レイ) アマンダ・クルー(メアリー) |
なにやら超能力が出てる感満載のパッケージと、予告編を見るやいなやアウト。もうね、自宅で監禁状態の父親と娘がいて、なにかから隠れているようで詳細は不明だし、不気味なしゃぼん玉おじさんがいたりして……。
ママの生存が確認されてから救出劇を繰り広げようとするのか。
「フリークス VS 世界 今こそ覚醒せよ」
だって。
なんだよ、それ。超面白そうじゃん。
あらすじ
父とふたりで暮らす7歳の少女クロエ。外の世界はとても危険だからと厳しく言われ、家の中だけで過ごす寂しい生活。外の世界に興味を持っていたクロエは、ある日、父が眠りについた隙に外出する。家の前に停まるアイスクリームトラックのおじいさんに声を掛けられ、自分がクロエの祖父で、母が生きていること、自らが持つ不思議な力のことを聞かされる。外出を父に叱られたクロエは、感情の高ぶりにより特殊能力を覚醒させる。その能力とは「人の心を操る」非常に危険な能力であった。クロエは、それぞれ違う能力を持つ父と祖父と共に、監禁されている母を助け出すため、その能力を全開にする。
引用:Amazon.co.jp
感想
前半から中盤にかけては監禁状態のあれこれでなんともじれったい展開が続くわけですが、辛い、辛い、本当に辛すぎる。
なにが?って、我が家の生後7ヶ月の娘とクロエを重ね合わせて観てみるとなおさら胸がぎゅっと締め付けられてしまうような、あんなことやこんなことを父親であるヘンリーは言われて、平気じゃないよね?よね?よね?
父親の視点で観る自分がパソコンの前にいました。
オブラートに包むと、「死ねばいいのに……」的な発言を娘からされてしまいます。思春期にはちょっと早すぎるような年齢だと思いますけど。
まぁ、理由はなんであれダメだよなー、そんなこと言っちゃー。
ヘンリーは言われても仕方ない状況を察知してか、平気な顔をしてるし。いや、もしかしたら内心穏やかじゃなかったかもしれませんけど。それでもね。
「いつか死際に直面する日が訪れるから、その時今言ったことを後悔するぞ」的な発言をクロエにしてましたけど、そこ、開き直るところじゃないから。
確かに言いたくなるクロエの気持ちもわかりますよ。
だって、四六時中監禁された状況なんですから、しかも遊び相手はヘンリーしかいません。
ずっと相手をしているわけでもないので、ひとり遊びにも限界があります。フラストレーションもストレスもダブルで溜まってしまうのが当たり前です。
窓の隙間から微かに見える世界は、いろいろな魅惑で溢れかえっていますからどう考えても抑制不能です。それでしょうね。ついにはご自宅に近しいご近所の女の子と母親のメアリーをお招きしたのは。
ディナーとかじゃなくてパジャマパーティーとかの類で。メアリーはどこかに収容されているのがそのときわかって。これ、超能力の一部です。
思いを何度も声に出すことで、いとも簡単に実現しちゃいます。
……て、こわっ。
自分が所有している超能力ならいいですけど、フラストレーションが積み重なって、衝突が弾みでヘンリーを自害に追い込もうとしたシーンは心底心臓に悪かったです。心が痛みました。
実の父親ですよ。理由があって命を脅かす危険から身を守っているはずなのに。娘にわかってもらえないじれったさと、それでも守らなければいけない使命と。クロエはクロエで楽しみを奪われている状況と、外に出たい一心で……。
これが映画を観る側の辛さになるわけです。どっちにも共感できて辛いです。
僕だったらどうしてたかなんていちいち考えられません。だって、すっごく重たいテーマじゃん。軽はずみに発言するの無理だって。
能力に目覚めたクロエはあの手この手を使い、結果、外出します。ヘンリーを跳ね除けあれほど望んでた外出でしたが、意外にも帰宅時間は早く……むしろ帰ってくるんかよ、と半分目を疑いました。
二度と自宅には足を踏み入れないものと思っていた(そんな勢いがあった)ので、ばびりました。すごく、ばびりました。
おじいちゃん、勝手がわからないのはわかりますけど、孫ともっとうまく付き合いましょうよ。あれじゃ、レストランの店員さんがかわいそうでしたし。犠牲になった分、その方の顔が浮かばれません。
クロエ自体の超能力も恐ろしいのですが、展開が進むにつれて彼女自身の存在自体に恐ろしさを覚えます。
ヘンリーの殺害未遂、そしてご近所さんの母親を遠隔操作にて殺害を誘発。とてもじゃありませんが、7歳の女の子がするような行為としては末恐ろしいものでした。普通のご家庭であれば、将来の絶望感か不安しか抱けないはずです。
ところが訳ありのご家庭のため、メアリーの救出のためならなんでもありなのか。どちらが悪者なのか説明がつかないくらいに、どうしょうもない展開になってました。
殺人が美化されるなんて、そこはジョーカーであっても許されないことですからね。
誘発であったとしても殺人、ダメ絶対。
最も○ ○で賞
出演者のなかから、個人的に目に留まった人物を勝手にピックアップしてかっこいいで賞&美しいで賞という名目で表彰しています。表彰の基準は様々で、見た目だけでなく役柄も重要視した上での判断となります。
最もかっこいいで賞
エミール・ハーシュ演じるヘンリーを選びました。理由は、父親として一番辛い立場にありながらも娘のことを優先的に考えて最後まで守りきったからです。まじめに感動しました。上から目線になってしまいますが、よくやったと讃えてあげたい、そんな気持ちでいっぱいです。
いや、どこからどう見てもすごいと思います。あそこまで我慢といいますか、ぐっと堪えて耐え忍んで、もはやすごいという言葉以外僕には見つけられません。心が折れてしまいそうなシーンなんて何度もありました。こういうのなんて言うんですかね、無償の愛ってやつ?ですかね。
ただね、クロエにアイスクリームだけは買ってやれていなかったのは疑問でなりませんでした。細かいところは気にするなと言われても気にするし。
だって、時の流れを遅くできる能力をもっているんですよ。どう考えてもスーパーで買えないはずがありません。不思議ですよねー。どうしてかな。拳銃で撃たれたのか腹部を負傷していたのとなにか関係があるのか、そのとき彼は一体誰と戦っていたのか、わからないことだらけでした。
父親としてできること、できないこと、あるんだぞ!的なことを伝えたかったのか、そういった意味であれば……それでも理解できるはずもありません。
最も美しいで賞
アマンダ・クルー演じるメアリーを選びました。理由は劇中ほとんど泣き顔でしたが、うーん、この女優さん絶対きれい。そう思って画像を調べるいなや、ほら、めちゃくちゃきれいだった。しかも想像以上。
きりっとした眉毛に鼻もしゅっと整っていて、目かな、彼女の顔には色気を感じます。それだけで選ぶ理由としては十分かと思います。
劇中では謎の組織に捕らえられてしまい、脱走しないように鎖で繋がれているところからスタートしました。悲しいことに夫のヘンリーには死んでしまったと思われていましたが、生存がわかってからは家族総出で救出。愛されてるなー、このお母さん。
どれほどの強さがあるのかは不明ですが、ワンダーウーマンといい勝負を繰り広げられそうな強さは備わっているのかなと思います。
ちなみに空に飛び立つ姿がスーパーガールみたいでした。それくらい強さの底が見えませんでした。可能性としてあるなら次作に期待したいです。
さいごに
ド派手な演出はありませんでしたが、それぞれがもっている能力は決して地味ではありませんでした。透明人間になれたり、時の流れを遅くできたり、人を遠隔操作できたり、衝撃波で破壊したり……。
メアリーはこのなかで衝撃波で破壊するという恐ろしい能力をもっているのにも関わらず、どこぞの組織に捕まってましたから、一体どうやって捕らえることができたのでしょうか。それとどうやってその力を抑え込んでいたのか、その辺は説明不足だったかなと思いました。
父親の目線で観ると辛いというのは、なにも娘のことだけではなく、最後メアリーによっておいしいところを持っていかれたのは、あれはなんだか切なかったです。結局のところ女性が優位に立ってはるやん。
この作品、時代を大きく反映させてんのかな。くぅー。