『再婚ゲーム』意味がないは嘘!復讐は果たしてこそ意味がある作品
ジャンル | ヒューマンドラマ |
原題 | 블랙의 신부 |
製作国 | 韓国 |
監督 | キム・ジョンミン |
脚本 | イ・グニョン |
主題歌 | Seori「Wicked」 |
配信日 | 2022年7月15日(金) |
話数 | 全8話 |
配給 | Netflix |
主なキャスト | キム・ヒソン(ソ・ヘスン) クォン・ヒョク(カン・ナムシク) イ・ヒョヌク(イ・ヒョンジュ) チョン・ユジン(チン・ユヒ) パク・フン(チャ・ソクジン) チャ・ジヨン(チェ・ユソン) |
おー、これは、身の毛もよだつ人間ドラマ全開の、醜さあり、人情あり、権力争いという名の傲慢さによって人生が破綻してしまう、まさに復讐劇のなかの復讐劇ドラマだった。
全8話と手軽に楽しめて、きれいさっぱり復讐劇が幕を閉じてしまう展開の潔さがむっちゃくちゃよかった。これは見応え十分。
あらすじ
思わぬ裏切りに追い詰められるカン・ナムシク。チン・ユヒがある経営者への紹介を求めてレックスを訪れたのと同じ頃、ソ・ヘスンも返金を求めてレックスにやってくる。
引用元:Netflix
感想
再婚ゲームと称して、中身はレックスという超上流階級向けの特別な結婚相談所を中心に繰り広げられている、といったもの。
こうやって言うとシンプルに聞こえてしまうものの、実際のドラマの中身は全然……ドロドロ。昼ドラの要素をプラスして、そこに憎悪を加えたテイストに仕上がっている。ゆえに、まぢで感情がもっていかれてしまう。
それはどんな感情かというと、とにかくチン・ユヒが憎い。主人公がソ・ヘスンとするならば、チン・ユヒは悪役的な存在。この存在こそがイライラして腹が立つ。早く地に落ちてしまえばいいと心の底から何度も念じてしまう。
それほど憎いキャラクターで、画面越しに何度もデコピンを喰らわしてしまうほど、とにかく直接ダメージを与えたい気持ちに掻き立てられてしまう。
本当はそれだけでは物足りないのだけれども、彼女自身も過去に辛い経験をしている描写がありーの、一瞬同情心が芽生えてしまうものの7話の血も涙もない展開を見れば瞬く間に殺意を抱いてしまう。
地に落ちそうで落ちない展開が本当にもどかしく、じれったい気持ちに急かされてしまう。その点において韓国ドラマは、キャラクターの描き方、見せ方、設定が本当にうまいなーと思う。
どうしてチン・ユヒのような悪女に男性は引っ掛かるんだよーと半ば呆れるも、それは僕があくまで第3者の立場で見ているというだけで、実際男性は感情で動く要素が高い生き物なので、簡単に罠に引っ掛かりやすいと言われている。
上流階級だからとか、警戒心が強いだとか、そんなのはまったく関係ない。フェロモンたっぷりの魅力的な女性に誘惑されてしまうと、顔はわからなくても男性は誰でもイチコロになってしまう。間違いなく射抜ける。ドラマの内容の仮面パーティーでのシーンはそれを象徴していた。
一方で、その仮面パーティーを企画したレックスの代表チェ・ユソンのキャラクター性も、もの凄くよかった。魅力も魅力、レックス会員やそのご家族に投げかける言葉がいちいち品がありすぎて、まぢでためになった。
仮面パーティーを企画する下りでも、上流階級のなかでもトップに君臨するハイブル社の社長イ・ヒョンジュが不参加への意向を示すと、チェ・ユソンは「実を言うとあなたのために企画しました」とか言うんですよ。
あなたのためと聞いて嬉しくないわけがないですよね。そのあとたたみかけるかのように女性を紹介する形式ではなく、自ら探してもらう手段として仮面パーティーを企画したと伝えたのも、再び参加権を相手に差し出すという提案力の高さが伺えた。
それに対し、イ・ヒョンジュはひと目のあるイベントに参加することに抵抗があり、そもそも仮面パーティーは滑稽とやや皮肉めいたことを話す。
ここにきての切り替えも秀逸で、「人は皆、仮面を着けて生きている。仮面によって偽りの自分を隠せ、素顔がさらけ出せる。特別扱いからの解放、地位関係なく本音で関われる相手を探せる」といったセリフをチェ・ユソンが論じるわけですが、結局イ・ヒョンジュは仮面パーティーに参加することになる。
上流階級の結婚相談所のトップともなれば言動ひとつとっても品格があり、発せられる言葉の一つひとつがまるで優雅かつ魅惑的で、もはや言葉に表せないものもあった。
だけど、そんな彼女も屈強な心の持ち主のキャラクターかと思ったら政治的な権力によってまんまと翻弄されてしまうので、このドラマから学んだことは、”強欲な人間は、強欲によって翻弄されてしまいいつかは破滅してしまう”。そんなところかな。
100%、正しい行いが報われる世の中とは思っていませんが、少なくとも訴える続けることの大切さについても学ぶ部分が大いにあった。
それはソ・ヘスンが不倫相手に夫が騙されて自殺に追い込まれてしまったことを、出会ってまもないイ・ヒョンジュに対して話すシーンで、まさかそのことをあの段階であの場面で伝えるとは思わなかったので。これは文化の違いなのか、人種の違いなのか。それとも別のなにかなのか。
家庭をハチャメチャにされてしまった主人公が人生を賭けて復讐を果たしていくわけですが、そんな過程でさらなる波瀾万丈な人生を歩んでいく姿を見届けたい方にとっては楽しめる作品になるので、気になる方はぜひ鑑賞を。
最も○ ○で賞
出演者のなかから、個人的に目に留まった人物を勝手にピックアップしてかっこいいで賞&美しいで賞という名目で表彰しています。表彰の基準は様々で、見た目だけでなく役柄も重要視した上での判断となります。
最もかっこいいで賞
イ・ヒョンジュ役のイ・ヒョヌクを選んだ。選んだ理由は、ソ・ヘスンの事情を知ったあとで、彼女を献身的に支えようとする行動がとにかくかっこよかったから。
あと傍からするとすべてを手に入れた人のように見えても、心のなかには埋めようのない寂しさを抱えて生きているといった点が印象的だった。
男性の登場人物のなかでも、男として強いところも弱いところもはっきりと描いている魅力的なキャラクターになる。
[box class=”glay_box”]名前:イ・ヒョヌク(이현욱)
生年月日:1985年 6月 17日(37歳)
出生地:韓国
身長: 180cm
Instagram:@wook0617
[/box]おすすめ作品3選
[aside type=”boader”]韓国で閲覧数8億PV突破の大ヒットWEB漫画を実写化した衝撃のミステリー・スリラー。スリリングな展開に一気見してしまう人が続出した作品。
韓国の上流階級で生きる女性2人のスリリングかつ予想不可能な展開を描いた作品。一切の綺麗事なく、ドロドロとした人間関係が見どころ。
コスメ会社を舞台に、新入社員と先輩の社内恋愛を描いたラブストーリー。ハラハラドキドキといった展開はほとんどなく平和的に終わるため、まったり恋愛ドラマを楽しみたい人におすすめ。
[/aside]最も美しいで賞
うーん、チェ・ユソンの全身から溢れ出す美しさも捨てがたいですけど、最後の最後まで潔白な心の持ち主であったソ・ヘスン役のキム・ヒソンを問答無用で選んだ。選んだ理由は、母親としての無償の愛が心にグッと奥深く刺さってしまったから。
釣りのシーンでイ・ヒョンジュの息子が怪我をしたときに、自らのスカーフで止血する献身的な姿を見て、そんな行動が自然とできてしまう時点で心臓を射抜かれてしまった。まさに母親としての理想の最終形態じゃなかろうか。
[box class=”glay_box”]名前:キム・ヒソン(김 희선)
生年月日:1977年6月11日 (年齢 45歳)
出生地:韓国
身長: 168cm
Instagram:@lovely.katie.k
[/box]おすすめ作品3選
[aside type=”boader”]信義(シンイ)を貫く高麗の武士と現代からやってきた神医(シンイ)の2人が、時空を超えて出会い波乱の運命と切ない愛を描いた作品。ファンタジー要素ありの時代劇となっている。
欲望溢れる大豪邸を舞台に、セレブ妻とセレブになりたかった女の運命のバトルを描いた作品。ドロドロといった面ではこちらのドラマも負けていない。
死神が自殺を食い止めるファンタジードラマ。真っ黒な衣装に身を纏う死神のイメージを払拭するかのようなファッションスタイルがおしゃれ。テーマ自体は重い内容を扱っているものの、コミカルな要素もたくさんあって楽しめる。
[/aside]さいごに
韓国ドラマでは王道とも言える財閥ドロドロ系のジャンルのなかでも、『再婚ゲーム』は復讐要素がかなり強く話もきれいにまとまっている。
復讐を計画立てる者と、それを邪魔する者との間で、この2人の運命とそれを取り巻く登場人物らが一体どうなってしまうのか、先の読めない展開にハラハラドキドキしながら楽しめた。
たまには刺激の強い韓国ドラマを観て、それとなく気持ちも引き締まったのかな。あー、おれもお金持ちなりてー。(←切実な願望:涙)